中村喜時(読み)なかむら・よしとき

朝日日本歴史人物事典 「中村喜時」の解説

中村喜時

没年:天明1頃(1781)
生年:元禄末年
江戸中期,北限の近世農書の著者。陸奥国(青森県)東光寺村庄屋に生まれる。生家は水田1000人役(約70ha)を所持し,10組以上の夫婦仮子や多数の奉公人をかかえた家父長制的農業経営を行っていた。18歳で家業を継ぎ,晩年は居住地を堂野前村に移し,稲作講話会を主宰して農家指導に当たった。「老人噺けるは」という書き出しで始まる著名な『耕作噺』(1776)は,彼が指導した農事要点質疑応答の内容を談話形式でまとめた著作であり,当時における寒冷地稲作の実状を忠実に伝えている。<参考文献>稲見五郎「『耕作噺』解題」(『日本農書全集』1巻)

(佐藤常雄)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「中村喜時」の解説

中村喜時 なかむら-よしとき

?-? 江戸時代中期の農民
陸奥(むつ)津軽郡(青森県)東光寺村の庄屋(しょうや)の家に生まれ,水田約70haを経営。晩年は堂野前村で農業を指導。安永5年(1776)刊の「耕作噺(ばなし)」は寒冷地稲作の状況をつたえる江戸時代の代表的な農書。通称左兵衛

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の中村喜時の言及

【耕作噺】より

…江戸中期の農書。津軽(青森県)堂野前村の中村喜時(生没年不詳)が1776年(安永5)に著し,のち写本として伝わった。〈老人噺けるは〉の書出しで始まる22章からなり,老農談話の形式でまとめられている。…

※「中村喜時」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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