中津河名・中津川村(読み)なかつがわみよう・なかつがわむら

日本歴史地名大系 「中津河名・中津川村」の解説

中津河名・中津川村
なかつがわみよう・なかつがわむら

中津川を遺称地とする。康治元年(一一四二)三月一日の大前道助譲状案答院旧記)に「薩摩国答院中津河名」とみえ、大前道助重代相伝の所領である同名がその孫師道に譲られている。平安末から鎌倉期には薩摩国在国司大前氏一族の支配下にあった。文保元年(一三一七)一〇月一一日には沙弥円仏からけどう院内中津河村等が以前の譲与に重ねて子息道海に譲与された(「円仏譲状」旧記雑録)。一方、宝治二年(一二四八)渋谷庄司光重の三子重保が答院に下向して答院氏の祖となり答院記)、その孫経重は同院内中津川城の城主となり中津川氏を称したと伝える(薩摩町郷土史)。中津川城跡は現中津川の大石おおいし神社付近の丘陵である。中津川氏が勢威を伸ばすと大前氏はしだいに衰えたとみられる。元弘三年(一三三三)一一月一〇日の渋谷重利証状と同日付渋谷重棟・同重利連署去状(ともに入来院文書)の包紙に「くろき中津河」とみえている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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