中間省略登記(読み)ちゅうかんしょうりゃくとうき

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「中間省略登記」の意味・わかりやすい解説

中間省略登記
ちゅうかんしょうりゃくとうき

権利変動の登記で,中間の変動過程を省略した登記。たとえば甲→乙→丙と所有権が移転しているのに,甲から直接丙に所有権移転の登記をしたような場合である。公示制度としての登記は,できるかぎり正確に権利変動の過程を記す必要があるという立場(如実主義)からいえば,中間省略登記は無効ということになる。しかし,2004年大改正前の旧不動産登記法の時代には,甲丙の共同申請による中間省略登記が横行していた。旧不動産登記法では登記申請において登記原因を証明する書面の提出が必須ではなかったこと,中間省略により登録免許税が節税できたことなどがその理由であった。また判例も,中間者の同意があれば中間省略登記も許され,さらに場合によっては,丙から直接甲に対しての登記請求も肯定されるという立場をとっていた。2004年改正の不動産登記法は登記原因証明情報の提出を必須としたので(61条),甲丙の共同申請による中間省略登記はできなくなった。また,現在の所有者丙が登記名義人甲に対して移転登記請求訴訟をして勝訴判決を得たことによって,判決による中間省略登記をすることについても否定された(最高裁判所判決 2010.12.16.最高裁判所民事判例集64巻8号2050)。したがって,現行法においては中間省略登記は認められず,例外的に認められるのは特別の法令農地法による不動産登記に関する政令3条など)がある場合のみである。

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