財産権の得喪変更に関する登記および登録ならびに一定の人的資格の取得または事業の開始等についての登録,特許,免許,許可,指定および技能証明(以下〈登記等〉という)を受けることにつき,これらの行為の背後にある担税力に着目して課される国税で,流通税といわれることが多い。登記等の際に納付しなければならないので手数料ではないかという見方もあるが,必要な実費を償うために徴収される手数料とは本来性格を異にする。1896年に登録税として創設,1967年に新たに事業免許等も課税対象とされ,名称も登録免許税となった(登録免許税法)。納税義務者は登記等を受ける者(所有権の移転登記のように登記等を受ける者が2人以上ある場合には,連帯して納付義務を負う)で,課税標準および税率は,登記等の区分(不動産所有権の移転登記および保存登記,抵当権設定登記,あるいは弁護士登録,公認会計士登録等)に応じ登録免許税法別表一の課税標準欄に掲げる金額または数量によることとされている。納付は,登記等を受ける者が登録免許税を国に納付し,その納付した領収証書を登記等の申請書にはり付けて登記官署等に提出する現金納付が原則である。ただし,税額が3万円以下であるなどの場合には,印紙納付も認められる。なお政策的見地から,個人の新築住宅等の登記の税率軽減措置その他各種の税率軽減措置が設けられている(〈登記料〉の項を参照)。
執筆者:浜本 英輔
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登録免許税法(昭和42年法律35号)に基づいて登記または登録の際に課される国税。手数料に類似した性質を有するが、権利の価格やその得喪・変更の原因いかんによって税額や税率を異にすることからもわかるように、財産または権利の変動に担税力を認めて課される一種の流通税である。登録免許税の前身は1896年(明治29)に制定された登録税法によって設けられた登録税であり、1967年(昭和42)に登録税法が全文改正されて新しい登録免許税法が施行された。
納税義務者は登記などを受ける者で、おもな課税物件は、不動産や工場財団などの登記、船舶や航空機の登録、商業登記および法人登記、著作権または出版権の登録、特許権・意匠権・実用新案権または商標権の登録、鉱業権や漁業権の登録、弁護士・医師など人の資格の登録である。課税標準は、不動産のように価額の場合と、人の資格の登録のように件数の場合とがある。税率は前者の場合には価額の一定率であり、後者の場合には一件当りの一定額である。納付は原則として現金納付であるが、税額が3万円以下などの場合は印紙納付も認められる。なお、政策的見地から、租税特別措置法によって、個人の新築住宅の登記の税率軽減措置など、多くの軽減、免除が行われている。
[林 正寿]
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(浦野広明 立正大学教授・税理士 / 2007年)
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…登記料とは,土地を買ったり家を建てたりした場合,法務局へ登記しなければならないが,その登記手続に要する司法書士への報酬,登録免許税などの費用を総称する通称である。買主が完全な所有権を取得できるようにするのが売主の義務だとすると,これらいわゆる登記料は,売買契約上の売主側の債務の履行に要する費用であるが,取引の実際においては,登記料とくに登録免許税は買主の負担とする旨の特約が普通であり,それはほぼ慣習法化している。…
…また土地租税には,土地の売買によって実現するキャピタル・ゲイン(資産の値上がり利益)の一部を公共に還元させることによって所得の再分配を進める機能もある。租税は一般的に所得税,流通税,財産税に分類されるが,日本の現行の土地租税には譲渡所得税(所得税),不動産取得税・登録免許税(流通税),固定資産税・都市計画税・特別土地保有税・相続税・譲与税および新設の地価税(1992年施行)(財産税)などがある。これらのうち財産税は,土地を所有することに対して,その土地の市場価格に一定率を乗じた額を課税するものであり,土地所有者はこの税がかけられると税負担に耐えるために土地を手放すか,あるいはみずから土地の有効な利用を進めなければならなくなるから,いずれにしても土地市場における供給促進の効果が期待できる。…
…この形態の税の多くは手数料から発展した。 流通税の例としては,印紙税(印紙),登録免許税,有価証券取引税,取引高税,付加価値税,とん税,特別とん税などがある。印紙税は,財産権の取得や喪失,契約の締結などに関連して発行される特定の証書や帳簿などに課される税であり,手形,有価証券,商品券などの文書に課税され,印紙,証紙の形で徴収される。…
※「登録免許税」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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