主張責任(読み)しゅちょうせきにん(その他表記)Behauptungslast

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「主張責任」の意味・わかりやすい解説

主張責任
しゅちょうせきにん
Behauptungslast

民事訴訟において,当事者自己に有利な具体的事実または具体的な法律効果もしくは法律事実が陳述されず (主張) ,その事実もしくはその法的効果が顧慮されない場合に,その結果として発生する当事者一方の不利益。弁論主義を採用している民事訴訟では,判決基礎となる主要事実が当事者の責任において提出されなければならないとされていることに基づくもので,論理的かつ時間的に挙証責任 (→立証責任 ) に先行する。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の主張責任の言及

【主張】より

…後者は法律上の主張を基礎づける具体的な事実を裁判所に報告する陳述をいう。後者のうち要件事実(主要事実)の主張については,弁論主義の妥当する領域の民事訴訟のもとでは,当事者から〈主張〉として行われなければ裁判の基礎にすることができない(主張責任)。事実上の主張に対応する相手方の態度は,否認,不知,自白,沈黙のいずれかである。…

【証明責任】より

…そこで民事訴訟法学では,当事者のうちのどちらがこの責任を負担するかについて,はげしく争われている。権利根拠事由(たとえば〈金を貸した〉),権利障害事由(たとえば〈錯誤により無効〉),権利滅却事由(たとえば〈返済した〉)を主張する利益と責任(主張責任という)のある者は,その主張事実につき証明責任があるとする説(規範説または法律要件分類説),証拠に近い者,証明しやすい者,異常なことを主張する者こそ証明責任を負担すべきだとする説(新説または反規範説)がある。新説はそのように考えないと公平に反するといい,規範説はそれでは法的安定性を害すると反論する。…

※「主張責任」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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