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立証責任 りっしょうせきにんburden of proof; Beweislast

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

立証責任
りっしょうせきにん
burden of proof; Beweislast

(1) 民事訴訟においては,証明責任ともいう。裁判所が一定の法的に重要な事実の存否を確定しかねる場合には,どちらかの当事者に不利に仮定して判断しないかぎり裁判ができないが,このような仮定により当事者の一方がこうむる危険または不利益をいう。立証責任は裁判所が審理を尽したのちに初めて問題となるもので,当事者が訴訟上自己に有利な事実を認定してもらうために証拠を提出しなければならない事実上の必要とは直接の関係はない。いずれが立証責任を負うかは,法規により最初から定まっているもので,具体的な訴訟の経過によって一方から他方へ転換することはない。立証責任をいずれの当事者に負担させるかの定めを立証責任の分配という。 (2) 刑事訴訟においては,挙証責任の語を用いるのが一般である。「疑わしきは被告人の利益に」という原則から,犯罪事実および処罰条件については検察官が合理的な疑いをいれない程度に証明しないかぎり,その事実は存在しないものとみなされる。例外的に法律上被告人が立証責任を負わされている場合があるが (刑法 207,230条ノ2,労働基準法 121条1項,児童福祉法 60条4項,公害罪法5) ,その場合にも証明の程度については訴追側より軽い程度でよいとする見解が有力である。

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百科事典マイペディアの解説

立証責任【りっしょうせきにん】

挙証責任

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デジタル大辞泉プラスの解説

立証責任

米国の作家スコット・トゥローの法廷サスペンス(1990)。原題《The Burden of Proof》。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

立証責任
りっしょうせきにん

訴訟上、裁判所が、ある事実の存否が確定できない場合に、当事者の一方に帰せられる危険または不利益。挙証責任ともいう。[内田武吉]

民事訴訟上

民事訴訟法は弁論主義をとり、判決の基本となるべき訴訟資料(事実および証拠)の提出責任を当事者に課している。したがって、訴訟資料が不足する場合、それによって生ずる不利益は、当然に当事者が負担することとなる。しかし、その不利益は原告あるいは被告の一方だけに負わしめるべきではない。そのため民事訴訟においては、判決のために必要な事実資料を提出すべき主張責任と、その証明に必要な証拠資料を提出すべき立証責任とを当事者に課して、それと同時に衡平の原則を背景とする一定基準によって、この責任を原告および被告に分担させている。これを主張・立証責任の分配という。この場合の責任の分配とは、訴訟資料の欠缺(けんけつ)や不足による不利益の帰属すべき当事者を定めることを意味する。たとえば、貸金請求事件において、債務を弁済した事実は、被告に主張および立証責任がある。それゆえ、弁済の事実が主張され、かつ十分に証明されなければ、弁済されなかったものと判断される。要するに、請求原因を構成する事実(実体法が、権利または法律関係の成立について定めた要件を充足する事実)については、原告に主張・立証責任があり、それ以外の事実による当該権利または法律関係の不発生、変更もしくは消滅については、すべて抗弁として、被告に主張・立証責任がある。[内田武吉]

刑事訴訟上

刑事訴訟では被告人は有罪とされるまでは無罪と推定される。被告人が特定の犯罪について有罪であることを、厳格な証明により合理的な疑いを超える確信を裁判官に得させる程度まで立証する責任(実質的挙証責任あるいは客観的挙証責任)は、原則として検察官がこれを負担する。すなわち、証拠調べの結果、要証事実が存否不明なときは、「疑わしきは被告人の利益に」の原則に従って無罪とされる。例外的に被告人に挙証責任が転換する場合があるとされ、たとえば刑法第207条(同時傷害の特例)における同時傷害ではない事実の証明や刑法第230条の2(名誉毀損(きそん)に関する公共の利害に関する場合の特例)における適示事実の真実性の証明などである。また、訴訟のそれぞれの段階で提出すべき証拠を提出しないことから事実上生じる不利益の負担を、形式的挙証責任あるいは主観的挙証責任という。この意味の挙証責任は、訴訟の進展に伴って一方当事者から他方当事者へと随時転換することになる。[内田一郎・田口守一]

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世界大百科事典内の立証責任の言及

【証明責任】より

…裁判の前提となる事実について,証拠調べが行われたが,その事実があったかなかったかがわからない場合(真偽不明という)に,裁判を拒否することはできないので,これを可能にするためのルール,およびそのことによって当事者がうける敗訴の危険・不利益を証明責任という。従来は,この危険を避けるための当事者の立証活動に着目して,挙証責任または立証責任という言葉が使用されていたが,現在では真偽不明という結果に着目した証明責任という言葉が多く使われている。たとえばAがBに金を貸したが返さないのでこれを支払えとBを訴えた場合,金を貸したかどうか明らかでない場合は,この事実がなかったように取り扱われAは敗訴となる。…

※「立証責任」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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