朝日日本歴史人物事典 「久保長闇堂」の解説
久保長闇堂
生年:元亀2(1571)
江戸前期の侘び茶人。名は利世,通称権太夫,長闇堂は号。奈良春日社の神人の家に生まれる。天正15(1587)年に行われた豊臣秀吉の北野大茶の湯に出かけ,茶人となることを決意。茶入の仕服などを製する袋物師のかたわら茶の湯に携わる。松花堂昭乗や大名茶のリーダーとも目された小堀遠州らの親交を得た。寛永年間(1624~44),東大寺の重源御影堂が改築されるに際して古材を譲り受けて7尺の茶処とした。これに小堀遠州が鴨長明の方丈になぞらえて「長闇」堂と命名。現在,奈良興福院に再建されている。また,その死去に遠州は「悼久保翁記」を記した。<著作>『長闇堂記』(『茶道古典全集』3巻)
(谷端昭夫)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報