乱れ箱(読み)ミダレバコ

デジタル大辞泉 「乱れ箱」の意味・読み・例文・類語

みだれ‐ばこ【乱れ箱】

畳んだ衣類手回り品などを一時入れておく、漆塗りでふたのない浅い箱。
くしけずった髪を入れるふたのない箱。
香道で、香元の座の脇に置いて、種々の香道具を入れる箱。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「乱れ箱」の意味・わかりやすい解説

乱れ箱
みだればこ

衣服や手回り品などを暫時入れておくための蓋(ふた)のない浅い箱。ほぼ縦6、70センチメートル、横4、50センチメートルで漆塗り、桑・桐(きり)製などのほか、竹を編んだものなど種々ある。乱れ箱は平安時代の打乱箱(うちみだりばこ)と中世広蓋(ひろぶた)とが一つになったものである。打乱箱は縦・横が30センチメートル前後、深さ3センチメートルほどの蓋のない箱で、女性が寝るときにかもじなどを入れたり、髪を梳(す)くときに使ったり、手巾(てのごい)を入れたりするのに用いられた。広蓋は衣服などの引出物をのせる蓋のない箱で、元来は櫃(ひつ)や長持の蓋を用いたが、のちには専用につくられるようになった。これが明治以後、脱ぎ捨てた衣服などを入れるのに旅館などで使われるようになり、乱れ箱とよぶようになった。

小泉和子

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