二河白道図(読み)にがびゃくどうず

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「二河白道図」の意味・わかりやすい解説

二河白道図
にがびゃくどうず

中国,唐の善導の『観無量寿経疏』に説かれる比喩を図示したもの。画面の下部手前現世ありさまを,上部に極楽浄土を描き,人間の貪愛と瞋恚 (しんい) を象徴する水,火の二河が両者を隔て,その間に通じる一筋の白道を浄土信仰者が進むべき清浄な願往生心という道にたとえている。手前には釈迦が立って白道を進むことを勧め,向こうでは阿弥陀仏が迎えている。浄土諸宗で鎌倉時代以降盛んに制作され,光明寺本,香雪美術館本などが優れた作例

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世界大百科事典(旧版)内の二河白道図の言及

【善導】より

…これは善導の唱える念仏から化仏が生じたという伝承や,阿弥陀仏の化身とみた法然の善導観が造形的に表現されたからである。また浄土絵画のうち特異な《二河白道(にがびやくどう)図》は,善導が《観無量寿経疏》で説いた譬喩に基づいて作成されたものである。【伊藤 唯真】。…

【二河白道】より

…【礪波 護】 日本において,この比喩譚は極楽往生を欣求(ごんぐ)する浄土信仰者の信心を励ますため,鎌倉時代の浄土教家のあいだに広く流布した。《二河白道図》の遺品は,京都府粟生(あお)光明寺,兵庫県香雪美術館の両本が著名で,やや構成を異にするが,手前に闘争激しい現世の光景を,二河の向こうに極楽浄土の景観を描く点は両本に共通する。【浜田 隆】。…

※「二河白道図」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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