日本歴史地名大系 「井於郷」の解説 井於郷いのえごう 大阪府:河内国志紀郡井於郷「和名抄」にみえ、高山寺本は「為乃倍」、東急本は「井乃倍」の訓を記す。郷名は早く失われて郷域は確定しがたいが、三つの説がある。一つは「日本霊異記」下巻第五話の説話を根拠とする。安宿(あすかべ)郡内の信天原(しではら)山寺の住僧が布施銭五貫を盗んで隠しておいたところ、銭が鹿に変じた。そこでこれを運ぶために「河内の市の辺の井上寺の里」で人を集めて帰ってくると、鹿がもとの銭五貫にもどっていたという。これによると河内市の近傍に井上寺があったことになる。河内市は諸史料にその殷賑を伝える会賀(えが)(恵我)市とみてよく、河内国府(現藤井寺市の国府・惣社に比定)の近辺に置かれていたと考えられる。 出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報 Sponserd by