山寺(読み)やまでら

国指定史跡ガイド「山寺」の解説

やまでら【山寺】


山形県山形市山寺にある寺院。正式には宝珠山阿所川院(あそがわいん)立石寺(りっしゃくじ)と称し、860年(貞観2)、清和天皇の勅願によって慈覚大師円仁が開いたという天台宗の寺院。全山が凝灰岩からなる宝珠山の懸崖に多くの堂宇が配置され、東北の叡山(比叡山)ともいわれた。円仁の遺骸を安置したと伝える入定窟(にゅうじょうくつ)があり、1948年(昭和23)からの調査で、9世紀ごろの制作とされる頭部だけの木彫像が人骨とともに発見され、円仁像とされている。鎌倉時代には幕府から禅宗に改めさせられたが、衆徒が従わず、旧に復した。その後、兵火で焼失し、1356年(延文1・正平11)に山形に入った斯波兼頼(しばかねより)が、本堂の根本中堂を再建した。16世紀にも焼き討ちにあうが、室町時代中期建造の根本中堂は、入り母屋造り、5間4面、ブナ材の建築物としては日本最古といわれる天台宗の仏教道場である。堂内には円仁作と伝わる木造薬師如来坐像が安置され、最澄が比叡山に灯した常灯明を立石寺に分けたものを、織田信長の焼き討ちにあった延暦寺が再建されたときに、逆に立石寺から分けたという不滅の法灯がある。山門、仁王門、納経堂、開山堂、五大堂、如法堂(奥之院)など、山内の建物を結ぶ参道の石段は1000段を超える。また、1689年(元禄2)、おくのほそ道をたどって山寺を訪れた松尾芭蕉が「閑さや岩にしみ入る蝉の声」と詠んだものを、門人たちが1853年(嘉永6)に建てた句碑がある。1932年(昭和7)に国の史跡、名勝に指定された。JR仙山線山寺駅から徒歩約7分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

精選版 日本国語大辞典「山寺」の解説

やま‐でら【山寺】

[1] 〘名〙
① 山にある寺。山の中の寺院。さんじ。
古今(905‐914)春下・一一七・詞書「山でらにまうでたりけるによめる」
謡曲道成寺」の一節。「山寺の、春の夕暮来て見れば」という部分など。
※浮世草子・浮世栄花一代男(1693)一「もせぬ先に気をうかしてひとり機嫌に山寺(やまテラ)うたへば」
③ 江戸、吉原妓楼、松葉屋でよく用いられた語。田舎者のとも、わるふざけをする客の意ともいう。
洒落本・客衆肝照子(1786)振新「とんだ山寺だね。ヱヱいけねへ人だよウ」
[2] 山形市山寺にある天台宗の寺、立石寺の通称

さん‐じ【山寺】

〘名〙 山中にある寺。やまでら。
※文華秀麗集(818)下・山寺鐘〈嵯峨天皇〉「山寺不知何処在。旅館之東第一峯」 〔孟浩然‐夜帰鹿門歌〕

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普及版 字通「山寺」の解説

【山寺】さんじ

山中の寺。・孟浩然〔夜、鹿門山に帰るの歌〕 山寺の、晝已に昏(くら)し 漁梁渡頭、爭ひ渡ること喧(かまびす)し

字通「山」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

世界大百科事典内の山寺の言及

【立石寺】より

…山号は宝珠山。俗に山寺(やまでら)と称される。860年(貞観2)慈覚大師円仁の開山と伝え,東北屈指の慈覚大師信仰と庶民信仰の霊山である。…

※「山寺」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報

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