井田館跡(読み)いだやかたあと

日本歴史地名大系 「井田館跡」の解説

井田館跡
いだやかたあと

[現在地名]八尾町井田

江戸時代の飛州二ッ屋村ひしゆうふたつやむら道に臨んで築かれた館跡。「三州志」は規模を縦六五間・横九七間とし、館跡の所々に「旧塁泉水」の跡があると記す。現在は白山社や妙法みようほう寺・立泉りゆうせん寺の境内となり、わずかに面影を伝えている。当館は戦国期に婦負郡の南部一帯に勢力を有した斎藤氏の初期の本拠地であったといえよう。付近に大町おおまち町頭まちがしらなどの小字が残ることから、この館を中心とした城下町的な集落が形成されていたともみられる。同書によると、この館には飯田(加越能文庫の「富山領等越中国古城併雑書記」では斎藤と記す)孫二郎利忠とその弟小市郎利常・同五郎二郎利憲らが居住していたが、天文二一年(一五五二)利忠らは長尾景虎(上杉謙信)の麾下願海寺がんかいじ(現富山市)城主寺崎民部左衛門と天神林てんじんばやしに戦い、利常・利憲は討死、利忠は城尾じようのお城へ逃れたという。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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