亜鉛鉱物(読み)あえんこうぶつ

改訂新版 世界大百科事典 「亜鉛鉱物」の意味・わかりやすい解説

亜鉛鉱物 (あえんこうぶつ)

亜鉛Znをおもな生産金属とする鉱物。亜鉛の原料として重要なのはセン亜鉛鉱(Zn,Fe,Mn,Cd)S(亜鉛含有量最高67%)で,各種の鉱床産出する。接触交代鉱床神岡,中竜など,鉱脈鉱床の豊羽,細倉など,黒鉱鉱床の小坂花岡などの鉱山が著名。ウルツ鉱ZnSは同質異像。亜鉛鉱床の酸化帯にはセン亜鉛鉱のほかに,リョウ亜鉛鉱smithsonite ZnCO3(とくに方解石を伴う鉱床に多い),異極鉱Zn4(Si2O7)(OH2・H2Oなどを産し,鉱石として利用されることもある。大分県木浦鉱山の異極鉱は美晶である。アメリカのニュージャージー州フランクリンには紅亜鉛鉱zincite ZnO(純粋のZnOは白色であるが,天然に産するものはMnなどの不純物を含み紅色である),フランクリン鉱franklinite (Zn,Fe,Mn)(Fe,Mn)2O4(磁鉄鉱Fe3O4と同構造),ウィレマイトwillemite Zn2SiO4(ケイ酸亜鉛鉱ともいい,六方晶系。類似の化学組成をもつカンラン石Mg2SiO4は斜方晶系で,構造が異なる)などを産し,亜鉛鉱床の酸化帯が変成作用を受けたものといわれている。亜鉛は日本に比較的豊富な金属で,国内鉱山からの産出が生産量の約30%(1979)を占めるが,そのすべてはセン亜鉛鉱として存在する。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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