日本大百科全書(ニッポニカ) 「神岡」の意味・わかりやすい解説
神岡(岐阜県)
かみおか
岐阜県北部、吉城郡(よしきぐん)にあった旧町名(神岡町(ちょう))。現在は飛騨(ひだ)市の東部を占める一地区。1950年(昭和25)船津(ふなつ)町と阿曽布(あそふ)、袖川(そでかわ)の2村が合併して神岡町と改称。2004年(平成16)古川町、河合(かわい)村、宮川(みやがわ)村と合併、市制施行して飛騨市となる。旧神岡町は、国道41号により、高山、富山方面と結ばれるほか、国道471号が通る。JR高山本線猪谷(いのたに)駅(富山県富山市)から分岐する神岡鉄道が通じていたが、2006年に廃止された。戦国時代は江馬氏の城下町、のち金森氏領となり、鉱山の開発に力を注ぎ、以来、町全体が神岡鉱山に依存して発展してきたが、1970年代以降鉱山の不況が影響して、町の人口が減少を続け、大津山(おおつやま)、栃洞(とちぼら)などの集落の無人化が進んだ。神岡鉱山は2001年に採掘を中止した。南西部の流葉山(ながれはやま)(1423メートル)の一帯は、奥飛騨数河(おくひだすごう)流葉県立自然公園に属し、山頂から北アルプスなどの展望がすばらしく、雪質のよいスキー場には各方面から訪れるスキー客が多い。中心地区の船津は、高原川(たかはらがわ)と支流山田川の合流点付近の河岸段丘上に発達し、商店が密集する。高原川上流域の商業中心地でもある。城ヶ丘には神岡城(1970年復原)があり、鉱山資料館、郷土館(旧松葉家)が併設されている。また鎌倉末期の建立とされる小萱薬師堂(こかややくしどう)は国指定重要文化財である。旧鉱山施設を利用したニュートリノ(中性微子)観測装置スーパーカミオカンデがある。
[上島正徳]
『『神岡町史 史料編』上中下(1972~1977・神岡町)』
神岡(秋田県)
かみおか
秋田県中部、仙北郡にあった旧町名(神岡町(まち))。現在は大仙(だいせん)市の中部を占める地域。旧神岡町は、1955年(昭和30)神宮寺(じんぐうじ)町と北楢岡(きたならおか)村が合併して成立、それぞれの町村名から1字ずつとって神岡町とした。2005年(平成17)大曲市(おおまがりし)と西仙北、中仙、協和、仙北、太田の5町および南外村(なんがいむら)と合併して大仙市となった。JR奥羽本線と国道13号(羽州街道)がほぼ並行して南東から北西に走る。雄物川(おものがわ)と玉川の合流点にあり、しばしば洪水、川欠け、流路の変更などに悩まされた。水害解消を主目的とした玉川ダムが1991年(平成3)完成した。神宮寺は羽州街道の宿駅で、1905年(明治38)の鉄道開通までは雄物川の船着き場でもあり、日本海の土崎湊(つちざきみなと)から送られる物資の陸揚げ、角館(かくのだて)方面から玉川を下ってくる荷物の積み替えが行われ、浜蔵や浜小屋があった。米作中心の農業のほか、醸造業などもある。
[宮崎禮次郎]
『『郷土誌かみおか』(1974・神岡町)』