仮令・縦・縦使(読み)たとい

精選版 日本国語大辞典 「仮令・縦・縦使」の意味・読み・例文・類語

たとい たとひ【仮令・縦・縦使】

〘副〙
推量のことばと呼応して用い、その前提となる条件を提示する。
(イ) その条件句が助詞「ば」などを伴って順接条件を示す場合。もし。仮に。
書紀(720)雄略二三年八月(前田本訓)「縦使(タトヒ)星川、志を得て共に国家を治めば、必ず当に戮辱(はち)、臣連に遍(あまね)くして、酷毒(からきこと)、民(おほむたから)に流(ほとこ)りなむ」
※西大寺本金光明最勝王経平安初期点(830頃)五「若(タト)ひ夢の中のひとい菩提の行を行せましかば、我も亦菩提の行を行せまし」
(ロ) 条件句が「とも」「ども」「…せよ」などを伴って逆接条件を示す場合。よしんば。もしや。たとえ。
※西大寺本金光明最勝王経平安初期点(830頃)八「仮使ひ王の位を失ひ、及以命を害する縁はありとも、終に悪法を行せず」
② 仮に想像してみれば。たとえてみれば。
※飯室切金光明最勝王経註釈平安初期点(830頃)「仮使(たとヒ)日月は地に墜り堕ち、或いは大地は有る時に移転することもありぬべし」
[補注]「仮令」の表記は音読して「けりゃう」と漢語副詞化して、鎌倉時代後期以降用いられるようになる。

たとえ たとへ【仮令・縦・縦使】

〘副〙 (「たとい」が「たとえ」の語形に同化したもの) =たとい(仮令)①(ロ)
※金刀比羅本保元(1220頃か)上「縦(タトヘ)(くろがね)をのべたる楯成共、かれが矢前(やさき)には叶(かなふ)べからず」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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