デジタル大辞泉
「仮令」の意味・読み・例文・類語
け‐りょう〔‐リヤウ〕【仮▽令】
《たとえば、たといの意の漢語「仮令」を音読みにした語》
[副]
1 たとえば。
「―郭公などは、山野を尋ね歩きて聞く心を詠む」〈無名抄〉
2 たとい。かりに。
「―仏といふは…と知りたりとも」〈正法眼蔵随聞記・二〉
3 およそ。
「―案じ候ふに、内裏に参り集まる兵ども、その数候ふといふとも」〈保元・中〉
4 (多くあとに「ばこそ」を伴って)たまたま。さいわい。
「―わしがここに居たればこそ」〈伎・韓人漢文〉
[名・形動ナリ]かりそめのこと。いいかげんなこと。また、そのさま。
「商ひは―にして、明け暮れ男自慢」〈浄・盛衰記〉
たとえ〔たとへ〕【仮=令/縦=令/▽縦え】
[副]《「たとい」の音変化か》「たとい(仮令)1」に同じ。「―親友でも許せない」「―むだになってもやってみよう」
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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け‐りょう‥リャウ【仮令】
- ( 「け」「りょう」はそれぞれ「仮」「令」の呉音 )
- [ 1 ] 〘 副詞 〙 「たとい」「たとえ」などと訓読される、「仮令」という字の音読。多く、言い出し、書き出しに用いる。
- ① 条件句の冒頭に用いて、順接・逆接の接続助詞と呼応する。たとい。かりに。よしんば。
- [初出の実例]「市女笠非二禁制物一。仮令雖二禁物一、看督長・放免・別当下人破却、太奇恠也」(出典:小右記‐長和三年(1014)四月二一日)
- ② 物事を説明するために、具体的な例を提示するのに用いる。たとえば。たとえてみると。
- [初出の実例]「或為レ農祷レ歳、或為レ旱祈レ雨、至レ排二災害一荐有二徴応一。仮令大和、大神、広瀬、龍田、賀茂、穴師等大神是也」(出典:類聚三代格‐一・貞観一〇年(868)六月二八日)
- ③ 物事の全体を大きくつかみ、概観するのに用いる。およそ。たいがい。一体。
- [初出の実例]「参加者、仮令可レ及二五万騎一」(出典:吾妻鏡‐治承四年(1180)九月二九日)
- 「仮令(ケリャウ)、その所に詠みて体ある物をば取りて付くべし」(出典:吾妻問答(1467頃))
- ④ ( 下に「…ばこそ」を伴うことが多い ) 偶然。さいわいにして。都合よく。
- [初出の実例]「仮令(ケリャウ)赦に、あふて、帰でこそあれ、いそぎ洛へ帰りたりとも、何の益も、あるまいぞ」(出典:三体詩素隠抄(1622)一)
- [ 2 ] 〘 名詞 〙 ( 形動 ) かりそめのこと。いいかげんなこと。また、そのさま。
- [初出の実例]「以二仮令算術一注二載巨多未進一之条、亀毛空花事歟」(出典:東大寺文書‐四ノ一・保元二年(1157)五月日・東大寺三綱陳状案)
仮令の補助注記
読みとしては、一三世紀後半頃から音読「ケリャウ」が増加したと推測されており、それまでは①は「タトヒ」、②は「タトヘバ」「タトヒ」が有力であったと考えられている。③④並びに名詞用法の読みは音読説が有力である。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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「仮令」の読み・字形・画数・意味
【仮令】たとい(ひ)
かりに。〔史記、張儀伝〕張儀曰く、~臣、王の
を奉じて楚に
す。楚、何ぞ敢て誅を加へん。假令(たとひ)臣を誅すとも、秦の爲に黔中(けんちゅう)の地を得ば、臣の上願なり。字通「仮」の項目を見る。
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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