仮令(読み)ケリョウ

デジタル大辞泉の解説

け‐りょう〔‐リヤウ〕【仮令】

《たとえば、たといの意の漢語「仮令」を音読みにした語》
[副]
たとえば。
「―郭公(ほととぎす)などは、山野を尋ね歩きて聞く心を詠む」〈無名抄
たとい。かりに。
「―仏といふは…と知りたりとも」〈正法眼蔵随聞記・二〉
およそ。
「―案じ候ふに、内裏に参り集まる兵ども、その数候ふといふとも」〈保元・中〉
(多くあとに「ばこそ」を伴って)たまたま。さいわい。
「―わしがここに居たればこそ」〈伎・韓人漢文〉
[名・形動ナリ]かりそめのこと。いいかげんなこと。また、そのさま。
「商ひは―にして、明け暮れ男自慢」〈浄・盛衰記

たとい〔たとひ〕【仮令/縦令/縦い】

[副]
(あとに逆接条件を表す「ても」「でも」「とも」などを伴って)仮にある事柄を想定しながら、結果はそれに影響されないことを表す。もし…だとしても。仮に。よしんば。たとえ。「―失敗しようとも悔いはない」
(多く、あとに「ば」を伴って)もし。仮に。
「―汝此の国を治(し)らば、必ずそこなひやぶる所多けむとおもふ」〈神代紀・上〉
[補説]語源はハ行四段活用の動詞「たと」の連用形と推測されるが、「たとふ」の確かな例は見当たらない。漢文訓読系の語とされる。

たとえ〔たとへ〕【仮令/縦令/縦え】

[副]《「たとい」の音変化か》「たとい(仮令)1」に同じ。「―親友でも許せない」「―むだになってもやってみよう」

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

大辞林 第三版の解説

けりょう【仮令】

〔漢語「仮令」を呉音で音読した語〕
( 副 )
考えてみたところ。大体。おおよそ。 「参加者、-五万騎に及ぶべし/東鑑 治承四
たとえば。 「 -、木樵・草刈り・炭焼き・汐汲みなどの風情にも/風姿花伝」
さいわいに。偶然。 「 -わしがここにゐたればこそ/歌舞伎・韓人漢文」
( 名 ・形動 ) [文] ナリ 
かりそめのこと。いいかげんなこと。また、そのさま。 「今では地頭の名はあれどそれは-/浄瑠璃・聖徳太子」

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

精選版 日本国語大辞典の解説

け‐りょう ‥リャウ【仮令】

(「け」「りょう」はそれぞれ「仮」「令」の呉音)
[1] 〘副〙 「たとい」「たとえ」などと訓読される、「仮令」という字の音読。多く、言い出し、書き出しに用いる。
① 条件句の冒頭に用いて、順接・逆接の接続助詞と呼応する。たとい。かりに。よしんば。
※小右記‐長和三年(1014)四月二一日「市女笠非禁制物。仮令雖禁物、看督長・放免・別当下人破却、太奇恠也」
② 物事を説明するために、具体的な例を提示するのに用いる。たとえば。たとえてみると。
※三代格‐一・貞観一〇年(868)六月二八日「或為農祷歳、或為旱祈雨、至災害荐有徴応。仮令大和、大神、広瀬、龍田、賀茂、穴師等大神是也」
③ 物事の全体を大きくつかみ、概観するのに用いる。およそ。たいがい。一体。
※吾妻鏡‐治承四年(1180)九月二九日「参加者、仮令可五万騎
※吾妻問答(1467頃)「仮令(ケリャウ)、その所に詠みて体ある物をば取りて付くべし」
④ (下に「…ばこそ」を伴うことが多い) 偶然。さいわいにして。都合よく。
※三体詩素隠抄(1622)一「仮令(ケリャウ)赦に、あふて、帰でこそあれ、いそぎ洛へ帰りたりとも、何の益も、あるまいぞ」
[2] 〘名〙 (形動) かりそめのこと。いいかげんなこと。また、そのさま。
※東大寺文書‐四ノ一・保元二年(1157)五月日・東大寺三綱陳状案「以仮令算術載巨多未進之条、亀毛空花事歟」
[補注]読みとしては、一三世紀後半頃から音読「ケリャウ」が増加したと推測されており、それまでは①は「タトヒ」、②は「タトヘバ」「タトヒ」が有力であったと考えられている。③④並びに名詞用法の読みは音読説が有力である。

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