改訂新版 世界大百科事典 「任意加入制度」の意味・わかりやすい解説
任意加入制度 (にんいかにゅうせいど)
日本の社会保険の適用は強制加入を原則としているが,特例として次のように任意加入が認められる場合がある。(1)任意継続被保険者 健康保険,船員保険,厚生年金においては,退職後も引き続いて被保険者となることができる。(2)任意単独被保険者 厚生年金では,適用事業所以外の事業所に使用される場合でも,事業主が同意すれば,保険者の許可をうけて1人でも被保険者となることができる。(3)任意加入被保険者 国民年金では,他制度から老齢年金を受給できる者およびその配偶者などは,任意加入することができる。(4)任意包括加入被保険者 健康保険,厚生年金では,強制適用事業所でない事業所であっても,従業員の1/2以上の希望があり,事業主が申請し認可されると,事業所単位で適用をうけることができる。しかし,その場合は,適用後はその事業所に適用される者はすべて被保険者となるので,本来の任意加入制度とは異なる。これらのうち,(1)と(2)の任意加入は,国民健康保険や国民年金よりは給付面で有利になることの多い被用者保険,年金の保障がうけられる途を開いているものである。また(3)は,被用者年金による保障が十分でない者について,暫定的に任意加入を認めているものである。
執筆者:山崎 泰彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報