国指定史跡ガイド 「伊能忠敬旧宅」の解説
いのうただたかきゅうたく【伊能忠敬旧宅】
千葉県香取市佐原にある住居跡。江戸時代の地理学者伊能忠敬が酒造・米穀業を営んだ居宅として、1930年(昭和5)に国の史跡に指定された。町の中心を流れる小野川周辺には重厚な土蔵造りの家並みが残り、この旧宅もその一画に所在。忠敬は1745年(延享2)に上総国(かずさのくに)山辺郡小関村に生まれ、18歳のとき、酒造・米穀業を家業とする伊能家の養子となる。1800年(寛政12)に幕府に願い出て、蝦夷地(えぞち)の測量を始め、以後、17年間に及ぶ全国の測量に基づいて日本地図の作成を手がけた。忠敬は全国地図未完成のまま1818年(文政1)に74歳で没したが、遺業は門人の手によって「大日本沿海輿地全図」として完成をみた。旧宅は瓦葺き平屋建てで、表の店舖と奥の母屋からなり、店舗は土間、4畳半2室、3畳1室、7畳半1室からなり、土間で母屋に続いている。母屋は忠敬自身が設計したといわれ、8畳1室、6畳3室、玄関、内玄関、台所からなり、東側には溝を隔てて2階建ての瓦葺きの土蔵がある。忠敬の遺品を保管・展示している伊能忠敬記念館が近接する。JR成田線佐原駅から徒歩約10分。