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伊藤解析 いとうかいせき Ito calculus

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知恵蔵2015の解説

伊藤解析

水中に浮遊するある種の植物の花粉を顕微鏡で観察すると、細胞液中の微粒子不規則な運動をして絶えず動き回っている。このような運動をブラウン運動という。ブラウン運動は、1827年、植物学者ブラウン(R.Brown)による研究の後、1905年アインシュタイン(A.Einstein)により理論化され、23年にウイナー(N.Wiener)が厳密な数学モデルを構築した。42年に伊藤清は、時間と共に偶然に変化するブラウン運動を加味し、数学的に扱う確率微分方程式の理論を創始した。この確率解析の理論が伊藤解析。この理論は数学、理論物理学はもとより、偶然性を伴う現象の解析、特に集団遺伝学確率制御理論にも応用された。また経済学の分野では数理ファイナンスにおいて、ブラックショールズヨーロッパオプション価格決定理論に始まり、デリバティブ取引の理論にも応用されている。ショールズ(M.Scholes)はこの理論によりノーベル経済学賞(97年)を受賞し、伊藤は伊藤解析の理論により、ウルフ賞(87年)、京都賞(98年)、ガウス賞(2006年)を受賞した。

(桂利行 東京大学大学院教授 / 2007年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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