確率微分方程式(読み)カクリツビブンホウテイシキ(その他表記)stochastic differential equation

デジタル大辞泉 「確率微分方程式」の意味・読み・例文・類語

かくりつ‐びぶんほうていしき〔‐ビブンハウテイシキ〕【確率微分方程式】

時間経過とともにランダムに変動する量(確率過程)を扱う微分方程式ブラウン運動における粒子運動記述金融工学分野の株価デリバティブ価格付けなどに用いられる。

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改訂新版 世界大百科事典 「確率微分方程式」の意味・わかりやすい解説

確率微分方程式 (かくりつびぶんほうていしき)
stochastic differential equation

ランダムな外力を伴う運動方程式。ブラウン運動を変換して,マルコフ過程を構成する問題から研究が始まり,伊藤清により確率論の一分野として確立された。雑音に汚染された自然現象の記述などに広く用いられる。n次元常微分方程式,に従う運動に,ブラウン運動Bt)による摂動が加えられたとき,系の時間変化はdXt)=γ(Xt),tdt+α(Xt),tdBt)となり,確率微分方程式と呼ばれる。Bt)はtに関し微分不可能なため,正確にいえば,上記方程式は積分方程式

ただしBt)=(B1t),……,Bnt)),Xt)=(X1t),……,Xnt))。第3項のdBによる積分は確率積分である。α,γが有界で,Xについてリプシッツ連続のとき方程式の解はただ一つ存在し,Xt)は初期値xと(B(θ),θ≦t)の関数になり,マルコフ過程を定める。α,γに関する条件を弱めても解は存在するが,一意性やマルコフ性にいろいろの問題が起こる。がすべて有界連続関数となる有界なfに対し,Xt)が上記方程式の解であるとき,fXt),t)は次の確率微分方程式を満たす。

これはfを形式的にテーラー展開して,dBitdBjt)=dtijのとき),dBitdBjt)=0(ijのとき)として得られるが,伊藤公式と呼ばれ基本公式になっている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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