伊黒村(読み)いぐろむら

日本歴史地名大系 「伊黒村」の解説

伊黒村
いぐろむら

[現在地名]高島町高島

かも川中流右岸、東は拝戸はいど村。枝郷に富坂とみさか大笹おおささがある。弘安三年(一二八〇)七月一三日の比良庄堺相論絵図(室町時代の写、伊藤家蔵)に伊黒の地名がみえる。伊黒城に法泉坊が居城したと伝え、中世後期から近世初期までの村の変遷を記した伊黒村条目帳(八田文書)によれば、応永二六年(一四一九)浅賀氏を延暦寺が攻め滅ぼし、法泉坊が延暦寺の下司職となったという。年月日未詳ではあるが某書状案(朽木文書)によれば、伊黒にあった横山氏の下地が「山上」へ付けられたとの記事があり、延暦寺勢力の当地への進出を示すと思われる。そして日吉大行事権現が氏神として勧請される。同条目帳によれば、永正一六年(一五一九)頃村内は侍分と惣百姓に分れており、惣百姓は「百人名おとな百姓拾弐人」と小百姓・下人で構成されていた。元亀二年(一五七一)織田信長の比叡山焼打ち以後、「下司之大身分」として給米を受けていた郷士一二人は「六人衆」とよばれる六軒に減っている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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