伏見山(読み)ふしみやま

日本歴史地名大系 「伏見山」の解説

伏見山
ふしみやま

堀内ほりうち村のほぼ中央に立地する。現在明治天皇桃山陵が所在する辺りが頂部である。近世初期、豊臣秀吉によって伏見城が当山を中心に築造されている。木幡こはた山・松原まつばら山、また伏見城廃絶後は古城山ともよばれ、江戸中期には桃の木が群生し、いつしかもも山とよばれるようになった。

山城名跡巡行志(宝暦四年刊)は「伏見山 在古城ノ西松原山 在同山ノ北(中略)倶ニ詠和歌木幡山・伏見山・松原山倶ニ一所也、東ヲ云木幡、西ヲ云伏見山、北ヲ云松原山其麓ヲ云大亀谷、当山桃花多シ花ノ時諸人賞之」と記す。

この伏見山に桃樹が群生するようになった経緯については不詳だが、妙法院宮の「尭恕法親王日記」延宝二年(一六七四)三月一三日条に「伏見里桃花盛之由伝聞之間、今日率一両輩行伏見、見桃花」と初見され、一七世紀の後半には花の季節になれば、一山が桃の花で彩られるようになり、多くの貴賤男女が花見に寄り集うようになっていたものと思われる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

世界大百科事典(旧版)内の伏見山の言及

【伏見】より


[古代~中世]
 《日本書紀》の雄略17年に,土師連に朝夕の御膳の土器を奉るために民部を貢進させた記事があり,そのなかに〈山背国俯見村〉が見える。桓武天皇陵が807年(大同2)この地に移され,《江家次第》《拾芥抄》には〈伏見山に在り〉とされている。伏見山は木幡(こはた)山ともいい,この地がのちに豊臣秀吉の伏見城となり,さらに明治天皇陵となった。…

※「伏見山」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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