…室町から江戸時代にかけては,洗料も小麦粉,ふのり,粘土,滑石,緑豆,生大豆粉,ツバキの油粕,卵の白身など高級なものも使われだした。髪形の変化から,髷を固め光沢を出すための固練りの伽羅之油(きやらのあぶら)などが使われるようになると,それを洗い落とすため火山灰土や灰汁(あく)も利用された。明治に入ってセッケンが一般に普及すると,男性の洗髪はもっぱらセッケンによることになるが,女性の日本髪や洋髪などには,白土(はくど)を混ぜた髪洗粉が使われた。…
…大別すると,髪につやと潤いを与えるものと,整髪を主たる目的にしたものとがある。日本の伝統的化粧品のなかでは,前者には水油,後者には伽羅之油(きやらのあぶら)とよばれていた鬢付油(びんつけあぶら)があった。現代では狭義にはヘアオイル,香油であるが,広義にはヘアクリーム,ポマード,チック,ヘアリキッドなどもいう。…
…注目すべきは江戸時代に入り,化粧料の発達に大きく寄与したことである。庶民の間では〈伽羅(きやら)之油〉や〈花の露〉のような鬢付(びんつけ)油が,香水のなかった時代の芳香化粧品として愛用されていた。時代が下るにしたがって芳香化粧品のなかに新製品が生まれるが,商品名はそのまま受け継いでいるものがあった。…
※「伽羅の油」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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