伽羅の油(読み)キャラノアブラ

デジタル大辞泉 「伽羅の油」の意味・読み・例文・類語

きゃら‐の‐あぶら【×伽羅の油】

江戸前期、京都室町の髭の久吉が売り始めたびん付け油の一種

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精選版 日本国語大辞典 「伽羅の油」の意味・読み・例文・類語

きゃら【伽羅】 の 油(あぶら)

  1. (びん)付け油の一種。胡麻油生蝋(きろう)丁子(ちょうじ)を加えて練ったもの。近世初期に京都室町の髭(ひげ)の久吉が売り始めた。
    1. [初出の実例]「薫れるは伽羅の油かはなの露〈良俊〉」(出典:俳諧・玉海集(1656)一)
    2. 「いにしへは女の伽羅(キャラ)の油をつくるといふは、遊女の外稀なる事成しを」(出典浮世草子世間娘容気(1717)一)

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世界大百科事典(旧版)内の伽羅の油の言及

【髪】より

…室町から江戸時代にかけては,洗料も小麦粉,ふのり,粘土,滑石,緑豆,生大豆粉,ツバキの油粕,卵の白身など高級なものも使われだした。髪形の変化から,髷を固め光沢を出すための固練りの伽羅之油(きやらのあぶら)などが使われるようになると,それを洗い落とすため火山灰土や灰汁(あく)も利用された。明治に入ってセッケンが一般に普及すると,男性の洗髪はもっぱらセッケンによることになるが,女性の日本髪や洋髪などには,白土(はくど)を混ぜた髪洗粉が使われた。…

【髪油】より

…大別すると,髪につやと潤いを与えるものと,整髪を主たる目的にしたものとがある。日本の伝統的化粧品のなかでは,前者には水油,後者には伽羅之油(きやらのあぶら)とよばれていた鬢付油(びんつけあぶら)があった。現代では狭義にはヘアオイル,香油であるが,広義にはヘアクリーム,ポマード,チック,ヘアリキッドなどもいう。…

【香水】より

…注目すべきは江戸時代に入り,化粧料の発達に大きく寄与したことである。庶民の間では〈伽羅(きやら)之油〉や〈花の露〉のような鬢付(びんつけ)油が,香水のなかった時代の芳香化粧品として愛用されていた。時代が下るにしたがって芳香化粧品のなかに新製品が生まれるが,商品名はそのまま受け継いでいるものがあった。…

※「伽羅の油」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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