佐那河内(読み)さなごうち

日本大百科全書(ニッポニカ) 「佐那河内」の意味・わかりやすい解説

佐那河内(村)
さなごうち

徳島県東部、名東(みょうどう)郡にある村。村の中央を走る丘陵性山地によって、北部の園瀬(そのせ)川の本谷と、南部の支流嵯峨(さが)川の嵯峨谷に分かれる。園瀬川に沿って国道438号が徳島市へ通じている。両谷の谷底平野はかつて徳島藩への献上米であった佐那河内米の産地。山地斜面はミカンスダチの栽培が多く、ハウス栽培によるイチゴの生産も盛ん。大川原高原には村営牧場の放牧地や、風力発電風車、自然体験施設「いきものふれあいの里」がある。嵯峨峡は東山渓県立自然公園域、徳円寺はシャクナゲ群生で知られる。面積42.28平方キロメートル、人口2058(2020)。

[高木秀樹]

『『佐那河内村史』(1967・佐那河内村)』『『佐那河内村史 続編』(1988・佐那河内村)』


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改訂新版 世界大百科事典 「佐那河内」の意味・わかりやすい解説

佐那河内[村] (さなごうち)

徳島県東部,名東(みようどう)郡の村。人口2588(2010)。徳島市に隣接する。園瀬川上流域を占め,村域の多くは山林である。園瀬川とその支流沿いに小盆地や河岸段丘が形成され,かつて藩主への献上米となった良質米を産する。気候は温暖で,山地斜面にはミカン畑がひろがる。ミカンは明治初期,杖立山をへだてて南接する勝浦町坂本から上嵯峨に苗木を移植したのがはじまりだが,近年はミカン中心の農業から兼業化への動きが活発となり,ハウス加温によるスダチ,超早生ミカンの栽培などが増加し,イチゴ,花卉などをもとり入れた複合的経営に変わりつつある。酪農養鶏,養豚も盛んで,大川原高原には村営放牧場がある。上嵯峨の南,約30kmの地にある徳円寺はツツジ,シャクナゲの名所として知られる。
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