信念体系(読み)しんねんたいけい(その他表記)belief system

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「信念体系」の意味・わかりやすい解説

信念体系
しんねんたいけい
belief system

特定の集団成員の間に広がっているところの,その集団の重要な価値や事物を中心として意味づけられた観念確信態度体系。信念体系にはいろいろな規定がなされているが,たとえば D.デ・グレージアは信念体系を価値・態度体系と考え,政治共同体を支える結合紐帯とみなす。ここでは信念体系が社会的機能と考えられており,これが集団の秩序統制とを統合化するとみなすのである。アメリカの社会心理学者 A.カーディナーは,むしろ信念体系を個人の機能として考え,個人が環境に適応し,自己の統一性と安定性をもたらす統合体系ととらえている。このように信念体系は,個人の思考や行動に対する枠組みを与えたり,集団の秩序や統制の問題を究明する概念として用いられている。信念体系を構成する要因としては,(1) 認知的なもの 科学,技術,知識,(2) 情緒的なもの 宗教神話儀式固定観念,(3) 評価的なもの 審美的基準,道徳,などがあげられている。

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世界大百科事典(旧版)内の信念体系の言及

【アノミー】より

…マートンのアノミー論は,現代の社会構造と逸脱行動の発生との関連を明らかにした点で,あらたな視野を切り開いている。他方,これとは別の観点から,S.デ・グレージアは,一社会において信念体系の陥っている危機の度合に応じて,2種のアノミーを区別している。すなわち,複数の信念体系が単に葛藤の状態にある場合を〈単純アノミー〉,支配的な信念体系の崩壊による指導原理の全般的な喪失を〈尖鋭アノミー〉と名づけ,それぞれの政治社会学的意味合いに注目した。…

※「信念体系」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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