光子計数法(読み)こうしけいすうほう(英語表記)photon counting

改訂新版 世界大百科事典 「光子計数法」の意味・わかりやすい解説

光子計数法 (こうしけいすうほう)
photon counting

光電子増倍管など外部量子効果型の光検出器を用いた,極微弱光の測定法の一つ。光電子増倍管の出力を十分に早い応答をもつオシロスコープで観測しながら入射光をしだいに弱めていくと,無数のパルス重畳する形で現れていた出力が,分離したとびとびのパルス列に変わっていくことがわかる。これは光電面を飛び出す電子一つ一つが二次電子増倍されてのち,出力側に分離された形で現れるからである。この状態では,それら電荷の平均値を平均電流として測定することは困難であっても,出力パルスを計数することによって目的は達せられる。光子計数法では,出力パルスの中から入射光に基づく光電出力パルスのみを選択して計数すれば,計数値は入射光強度に比例するということを利用している。出力側に現れるパルスは,光電面を離れる電子,二次電子面で生ずる電子,残留ガスイオンの影響や管壁のシンチレーションなどに起因するが,パルス高の分布状態が異なるため,光電面から出る電子の成分を波高弁別器(ディスクリミネーター)を介して取り出すことができる。しかし,光電面を離れる電子には目的とする光電子のほか熱電子があり,ほぼ同じ波高分布をもつため弁別器は用をなさず,光電面面積の減少や光電面の冷却によって熱電子成分をおさえなければならない。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報