高温の固体から放出される電子のこと。テレビジョンのブラウン管に像が現れるのは、電子が飛んできて蛍光物質を励起し、発光させるからである。これは、ブラウン管の基部に封入されているフィラメントを加熱して陰極物質を高温にすると、電子がその物質の中から放出されることを利用している。ブラウン管のように熱電子を利用した電子管を熱電子管という。熱電子X線管、電子顕微鏡、サイラトロンなどはこの仲間である。熱電子が放出される現象を熱電子放出といい、リチャードソン効果またはエジソン効果ともよばれる。
エネルギー。電子が占有する最高エネルギー)の間のエネルギーをもっていて、EF以上のエネルギーをもつものは存在しない。EFのエネルギーをもつ電子が金属の外へ出るためには、さらにW以上のエネルギーを与えなければならない。このWを仕事関数といい、物質によって異なる値をもつ。温度が高くなると、EFよりも高いエネルギーをもつものが現れる。十分に高い温度であれば、電子のうちのかなりの割合が、EF+W以上のエネルギーをもつようになって、物体の外へ飛び出すことができる。
は金属中の電子を示すモデルである。絶対零度では、電子は0とEF(フェルミ・[野口精一郎]
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【Ⅰ】thermoelectron.金属または半導体を高温度に熱すると,固体内の電子が外部に放出される.この熱的刺激によって放出された電子を熱電子という.【Ⅱ】thermal electron.熱平衡エネルギーの電子.熱電子捕獲
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…しかし外部からの何らかの刺激により,物質内の電子がエネルギーを得て真空準位より高いエネルギーをもつようになると,その電子は真空中に放出される。電子がエネルギーを得て真空中に放出される原因は種々あり,それによって,熱電子放出,二次電子放出,電界放出,エキソ電子放出,光電子放出などと呼ばれる。
[熱電子放出]
固体が熱せられると,固体を形成している原子の振動が激しくなり,電子は原子振動からエネルギーを得て固体外に飛び出すようになる。…
※「熱電子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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