免疫電気泳動(読み)めんえきでんきえいどう(その他表記)immunoelectrophoresis

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「免疫電気泳動」の意味・わかりやすい解説

免疫電気泳動
めんえきでんきえいどう
immunoelectrophoresis

感度のよい簡単な蛋白質成分分析法の一種で,電気泳動と抗原抗体反応による沈降反応とを組合せた技法。血清蛋白質の組成分析に使われることが多い。 1950年代に開発されたもので,抗血清さえあらかじめ準備しておけば,精製しない試料についても,微量で容易に分析が行えるので,生化学での定法的分析手段の一つとなった。図のOに試料蛋白質を含む混合液を入れ,Pに照合のための標準蛋白質を入れて,左右方向に電気泳動を行なったのち,あらかじめ上記混合液などを動物に注射してつくっておいた抗血清をGに流し込み,一晩程度放置する。いまOのうちのある成分Cが,C0 の位置まで泳動されていたとすれば,放置の間にCは拡散していき,Gから同じく拡散してきた抗C抗体と,XYの線上で出会って,弧状の沈降線 (スパー) を生じる (xx′,yy′,…,あるいはxx′=yy′,…) 同じことが成分A,Bについても生じ,抗体として反応する別個の蛋白質成分と同数だけのスパーが生じる。標準蛋白質での結果と照合して,図ではBが目指す蛋白質成分であることを知る。

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