日本大百科全書(ニッポニカ) 「児童文学賞」の意味・わかりやすい解説
児童文学賞
じどうぶんがくしょう
優れた児童文学作品に与えられる賞。とくに第二次世界大戦後は児童文学への関心が高まり、各国でさまざまな賞が設けられ、現在、世界のおもな賞だけでも40種ほどになる。
[西本鶏介]
ニューベリー賞(アメリカ)
児童文学賞のなかでもっとも歴史が古く、世界で最初の子供の本を出版したイギリスのジョン・ニューベリーの功績を記念して、1922年アメリカ図書館協会により創設された。おもな受賞作品に『ドリトル先生航海記』『名馬スモーキー』『天国へ行ったネコ』『コウノトリと6人の子どもたち』などがある。
[西本鶏介]
カーネギー賞(イギリス)
1937年イギリス図書館協会が創設。英語で書かれ、イギリスで出版された本に授与される年度賞。『ツバメ号の伝書バト』『最後の戦い』『グリーン・ノウのお客さま』などが受賞。
[西本鶏介]
ドイツ児童図書賞(ドイツ)
旧西ドイツ政府によって1956年に制定された。ドイツの出版社から発行された本に与えられる。
[西本鶏介]
国際アンデルセン賞
世界各国の現存作家から選ばれる国際文学賞で、1956年スイスのチューリヒに設けられた国際児童図書協議会(IBBY)の事業として制定され、2年ごとに選ばれる。ファージョン、リンドグレーン、ケストナー、ギヨ、ヤンソンらが受賞。日本では画家賞を赤羽(あかば)末吉、安野光雅(あんのみつまさ)が受賞。
その他のおもな賞として、ケイト・グリナウェイ賞(1956年イギリス図書館協会創設の絵本賞)、コルデコット賞(アメリカ。1938年アメリカ図書館協会創設の絵本賞)、ボローニャ国際図書展賞(イタリア。1966年創設)などがあり、ロシアではクループスカヤ賞(1969年制定。年度賞)が設けられている。
日本の児童文学賞としては、小学館児童出版文化賞(1952年創設)、サンケイ児童出版文化賞(1954年創設)、日本児童文学者協会賞(1961年創設)、野間(のま)児童文芸賞(1963年創設)、赤い鳥文学賞(1971年創設)、日本児童文芸家協会賞(1975年創設)など、約50種の年度賞がある。
[西本鶏介]