八文字自笑(読み)はちもんじじしょう

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

八文字自笑
はちもんじじしょう
(?―1745)

江戸中期の京都の本屋。安藤氏。本屋の主人としては八文字屋八左衛門と称し、八文字自笑(八文字屋自笑とするは誤り)は筆名。八文字屋は1650年(慶安3)前後開業の浄瑠璃(じょうるり)本屋で、自笑はその2代目であるが、六角通麩屋町(ろっかくどおりふやまち)下ル(現在旧跡に碑が立つ)に店を構え、絵入(えいり)狂言本、役者評判記、浮世草子刊行と業務を拡張し、江島其磧(えじまきせき)を作者として、評判記は99年(元禄12)の『役者口三味線(くちじゃみせん)』、浮世草子は1701年の『けいせい色(いろ)三味線』を最初に、其磧の才筆と自笑の商才により他の本屋を圧倒した。評判記は其磧の始めた形式が幕末まで踏襲され、浮世草子は其磧や多田南嶺(ただなんれい)などの作者をうまく使い、孫の代まで約70年間上方(かみがた)の出版界をリードし、八文字屋本の称を残した。延享(えんきょう)2年11月11日没。享年80余歳。墓碑は京都市下京区富小路五条下ル道知院に現存。なお自笑号は、俳諧(はいかい)をたしなみ小説などの作もある2人の孫に継がれた。[長谷川強]
『野間光辰校注『日本古典文学大系 91 浮世草子集』(1966・岩波書店) ▽長谷川強著『浮世草子の研究』(1969・桜楓社)』

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世界大百科事典内の八文字自笑の言及

【八文字屋八左衛門】より

…安藤氏。筆名八文字自笑(じしよう)。八文字屋は1650年(慶安3)前後開業の浄瑠璃本屋で,代々八左衛門を称し,自笑はその2代目。…

※「八文字自笑」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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