八日市市(読み)ヨウカイチシ

デジタル大辞泉 「八日市市」の意味・読み・例文・類語

ようかいち‐し〔やうかいち‐〕【八日市市】

八日市

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本歴史地名大系 「八日市市」の解説

八日市市
ようかいちし

面積:五二・六〇平方キロ

琵琶湖東岸より一二キロほど内陸に入った湖東地方の中央部に位置し、北は神崎郡五個荘ごかしよう町、東は愛知えち湖東ことう町・愛東あいとう町と神崎郡永源寺町、南は蒲生がもう郡日野町・蒲生町・竜王りゆうおう町、西は近江八幡市蒲生郡安土町。市域は愛知川の旧流路によって形成された堆積平野にあり、標高は平均一三〇メートル前後。北東部が愛知川沿いの低位氾濫原であるのに対して、南部・西部には布引ぬのびき山系・箕作みつくり(瓦屋寺山)系の丘陵地帯が連なり、また東部から中央部にかけてはほぼ東西に八日市段丘の平野が広がる。この平野部(八日市丘陵)は古来蒲生野と総称された原野の一部で近世までは畑作が卓越し、狭義の蒲生野・六ッ木むっぎ野・おき野・長谷ながたに野などの原野を残していた。河川は北東端を愛知川が北西流するほか、八日市丘陵を挟む形で北をいかだ(駒井)、南を蛇砂へびすな川が西流し、愛知川用水路の吉田よしだ井・たか井なども流れる。筏川・蛇砂川は市辺いちのべ付近で合流、小河川となって近江八幡市へと向かう。市域中央部を東西に国道四二一号(旧八風街道)が横断し、これと交差する形で南北に旧御代参ごだいさん街道が走っている。市名はこの両街道の交差点に発達した八日市にちなむ。市域は、かつて八日市丘陵と筏川を境に北側は神崎郡、南側は蒲生郡に属した。

〔原始・古代〕

旧石器時代の明確な生活の跡は見つかっていないが、布引山系の玉緒たまお遺跡や庚申溜こうじんどめ遺跡やいけだに遺跡で当時の石器が発見されている。縄文時代では大きく分けて二地区の遺跡が発見されている。ひとつは箕作山麓の沼沢地で、前期と晩期の遺物が確認された瓦屋寺かわらやじカマエ遺跡と中期の日吉ひよし遺跡である。今ひとつは同様に低湿地の下羽田しもはねだ地区のやなぎまち小豆湯あずきゆの両遺跡である。下羽田の遺跡からはいずれも晩期の遺物が確認された。以上のうち瓦屋寺カマエ遺跡と下羽田の晩期の遺跡は弥生早期の遺跡でもあり、すでに水稲耕作を開始していたと思われる。その意味では、近江における水稲栽培開始期の一様相を示している。弥生時代中頃になると、雪野ゆきの山を囲繞するように近江八幡市・竜王町・蒲生町側も含め集落が形成されるようになる。市域の上羽田町内堀うちぼり遺跡もこうした遺跡の一つで、中期から後期の遺物が出土している。現在のところ墓地跡しか確認されていないが、布施ふせ山麓から上羽田の現集落辺りに当時の集落があったものと想定できる。

古墳時代前期になると、雪野山山頂に古墳の築造をみる。これは眼下の日野川水系の平野部に蟠踞した同水系中流域の首長の存在を示す。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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