雪野山古墳(読み)ゆきのやまこふん

日本歴史地名大系 「雪野山古墳」の解説

雪野山古墳
ゆきのやまこふん

[現在地名]八日市市上羽田町 西山、近江八幡市新巻町 草山、蒲生郡竜王町川守 竜王山

日野川水系中流域東岸にそびえる独立山塊雪野山(竜王山)山頂部、標高三〇八・八メートルにある前期古墳。未盗掘墳としても注目される。築造時期は四世紀中頃に求められる。墳丘の形態や規模は未調査であるが、直径(一辺)三〇―三五メートルの円形または方形プランを呈するとみられる。また前方部が付く余地がある。

平成元年(一九八九)に墳頂部平坦面にある竪穴式石室の発掘調査がされた。石室の規模は内法で長さ六・〇八メートル、幅は北端一・四メートル、南端一・三メートル、高さは木棺検出面までで一・四四メートルで、南端に天井石が一枚残されていた。床面に粘土床を設置してあり、その上で舟形木棺が確認された。棺底からは朱が検出され、側壁にはベンガラ(第二酸化鉄)が塗布されていた。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「雪野山古墳」の意味・わかりやすい解説

雪野山古墳
ゆきのやまこふん

1989年に滋賀県八日市市上羽田町西山の雪野山山頂で発見された未盗掘の竪穴式石室。墳形は直径 30mの円墳とも全長 75mの前方後円墳ともいわれるが,墳丘測量が待たれる。竪穴式石室の内部には両端に縄掛突起を有する舟形木棺が安置され,木棺の内外には赤色顔料が塗られていた。棺内より三角縁神獣鏡3を含む銅鏡5,鍬形石紡錘車等の碧玉製品,靫 (ゆき) に入った銅鏃 (どうぞく) ,鉄製武器類,壺形土器等,棺外より小札革綴冑 (こがねかわとじかぶと) ,鉄製武器類等が出土している。銅鏡は 仿製鏡を含み,碧玉製品を伴うことなどから4世紀後半の早い段階の築造と推定され,特に棺内出土の壺形土器は東海系の特徴を有し,編年上の重要資料であるばかりか,大和政権の東国進出とのかかわりが注目される。

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百科事典マイペディア 「雪野山古墳」の意味・わかりやすい解説

雪野山古墳【ゆきのやまこふん】

滋賀県八日市市(現・東近江市)の雪野山山頂にある4世紀中ごろの前方後円墳。全長70m。1989年,竪穴式石室が発掘され,棺内から三角縁神獣鏡を含む銅鏡,鍬形石(くわがたいし),琴柱形(ことじがた)石製品,靫(ゆぎ),鉄製の刀剣など多数の副葬品が出土した。隣接する安土町(現・近江八幡市)の瓢箪(ひょうたん)山古墳(前方後円墳)とならび,古墳出現期の湖東平野と大和政権の関係を知る上で重要視されている。

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