愛知川(読み)エチガワ

デジタル大辞泉 「愛知川」の意味・読み・例文・類語

えち‐がわ〔‐がは〕【愛知川】

滋賀県東部を流れる川。鈴鹿山脈御池おいけ岳(標高1247メートル)付近に源を発し、彦根市東近江市の境で琵琶湖に注ぐ。長さ48キロ。上流部は深い渓谷をなし、永源寺ダム下流付近から平野に出ると大規模な扇状地を形成する。

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精選版 日本国語大辞典 「愛知川」の意味・読み・例文・類語

えち‐がわ‥がは【愛知川・越川】

  1. [ 一 ] 滋賀県東部の川。鈴鹿山脈の御池岳(おいけがたけ)付近を源とし、天井川となって琵琶湖東岸に注ぐ。谷口にある永源寺もみじの名所。
  2. [ 二 ] 滋賀県中央部の地名。江戸時代中山道の武佐と高宮の間にある宿駅として発達。麻織物の小工場が多い。

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日本歴史地名大系 「愛知川」の解説

愛知川
えちがわ

鈴鹿山脈中に源流をもち、藤原ふじわら岳・りゆうヶ岳からの茶屋ちやや川と、御在所ございしよ山・雨乞あまごい岳からの神崎川が神崎郡永源寺町杠葉尾ゆずりおで合流、愛知川となる。御池おいけ川を合流し、永源寺町山上やまかみで平地に出、巨大な扇状地を形成しつつ北西流して琵琶湖に注ぐ。現在の河口は彦根市新海しんかいと神崎郡能登川のとがわ栗見出在家くりみでざいけの境界となっている。かつての河口はより北であったと思われる。流域面積一九八・四平方キロ。建久五年(一一九四)春、守護佐々木定綱の次男定重は「愛智河原」で斬首されている(元徳三年七月日「延暦寺衆徒申状」牒状類聚)

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百科事典マイペディア 「愛知川」の意味・わかりやすい解説

愛知川【えちがわ】

滋賀県東部の川。長さ48km。流域面積223km2鈴鹿山脈の西側に発し,湖東平野の中央を流れ,三角州を形成して琵琶湖に注ぐ。中世には愛智河原での合戦や洪水があった。下流は水田地帯であるが,天井川のため灌漑(かんがい)の便が少なく,上流の永源寺町(現・東近江市)に永源寺ダムがある。
→関連項目愛東[町]永源寺[町]愛知川[町]近江盆地五個荘[町]湖東[町]能登川[町]

愛知川[町]【えちがわ】

滋賀県中部,愛知川右岸の湖東平野にある愛知郡の旧町。主集落は渡津集落から発達,中山道の旧宿駅で,近江(おうみ)商人の本拠として有名。米作が盛んで,麻織物を特産,近江鉄道が通じる。2006年2月,愛知郡秦荘町と合併し町制,愛知郡愛荘町となる。12.94km2。1万582人(2003)。
→関連項目愛智荘

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「愛知川」の意味・わかりやすい解説

愛知川(旧町名)
えちがわ

滋賀県中央部、愛知郡にあった旧町名(愛知川町(ちょう))。現在は愛荘(あいしょう)町の西部を占める一地区。愛知川右岸に位置する。旧愛知川町は1909年(明治42)町制施行。1955年(昭和30)豊国(とよくに)村と合併。2006年(平成18)秦荘(はたしょう)町と合併、愛荘町となる。近江鉄道(おうみてつどう)、国道8号が通じる。中心の愛知川は近世中山道(なかせんどう)の宿駅で、商工業が栄え、近江商人発祥地の一つでもある。近江米の産地で、かつての麻織物業の伝統を引く織物工業が盛ん。旧豊国村は古くから近江上布(じょうふ)の産地として知られ、豊満神社(とよみつじんじゃ)の四脚門は国指定重要文化財、また八幡(はちまん)神社本殿は県指定文化財。伝承工芸として「びん細工手まり」がある。

高橋誠一

『『愛知川町の伝承・史話』(1979・愛知川町)』『『近江愛知川町の歴史 第1巻(古代・中世)』(2005・愛知川町)』



愛知川(川)
えちがわ

滋賀県中東部を流れる川。鈴鹿(すずか)山脈中の御池(おいけ)岳付近に源を発し、南西流し、東近江(おうみ)市の東部から北西方向に流れを変え、琵琶湖(びわこ)に注ぐ。延長48キロメートル、流域面積223平方キロメートル。上流には永源寺ダム(貯水量2274万トン)があり、下流域7市町を潤す。大規模な扇状地を発達させ、洪積段丘も流域にみられる。中山道(なかせんどう)の愛知川宿はこの川の渡津集落でもあった。1992年度(平成4)から、永源寺ダムのほかに新しい水源を確保するための「新愛知川事業」が進められている。

[高橋誠一]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「愛知川」の意味・わかりやすい解説

愛知川
えちがわ

滋賀県東部の川。鈴鹿山脈御池岳 (1247m) に発する茶屋川と,御在所山 (1210m) に発する神崎川が東近江市の杠葉尾 (ゆずりお) で合流,愛知川となり,永源寺ダムを経て山上 (やまかみ) 付近から北西流して平野を形成し,琵琶湖に注ぐ。全長 37km。支流の御池川上流の君ヶ畑木地師 (→木地屋 ) 発祥地とされる。山上から愛荘町までは扇状地が広がり,河口に三角州をつくる。河口付近は江戸時代に開発された新田が多く,上流の河谷は中世以来近江商人の伊勢通商路に利用された。 1947年国営総合開発が始まり,1972年永源寺町相谷 (→永源寺 ) に永源寺ダムが完成,発電と灌漑に利用されている。ダムを含む上流域一帯は鈴鹿国定公園に属する。

愛知川
えちがわ

滋賀県中部,愛荘町西部の旧町域。愛知川中流東岸にある。 1909年町制。 1955年豊国村と合体。 2006年秦荘町と合体して愛荘町となった。中心地区の愛知川は江戸時代中山道の宿場町として繁栄。近江八幡市などとともに,近江商人の発祥地として知られる。農村部では米作が行なわれ,工業は麻織物中心の繊維工業が多い。近江上布 (→上布 ) は国の伝統的工芸品に指定されている。豊満神社 (四脚門は国の重要文化財) には古文書史料が多く残っている。

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改訂新版 世界大百科事典 「愛知川」の意味・わかりやすい解説

愛知川 (えちがわ)

滋賀県東部の川。幹川流路延長52.9km,全流域面積203.5km2。鈴鹿山脈の御池岳(1241m)付近に源を発し,東近江市の旧永源寺町山上付近から北西流して大きな扇状地をつくり,大中之湖干拓地の北で琵琶湖に注ぐ。上流部は林業が卓越し,旧永源寺町の君ヶ畑と蛭谷(ひるだに)は木地屋集落として知られている。中流以下は水田地帯が広がるが,天井川で水利の便が悪かったため,上流に1972年農業用水の確保を目的とする永源寺ダム(発電所の最大出力5800kW)が完成した。
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愛知川(旧町) (えちがわ)

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事典・日本の観光資源 「愛知川」の解説

愛知川

(滋賀県愛知郡愛荘町)
中山道六十九次」指定の観光名所。

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