八苦(読み)ハック

デジタル大辞泉 「八苦」の意味・読み・例文・類語

はっ‐く【八苦】

仏語人間八つの苦しみ。生・老・病・死の四苦に、愛別離苦怨憎会苦おんぞうえく求不得苦ぐふとくく五陰盛苦ごおんじょうくを加えたもの。

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精選版 日本国語大辞典 「八苦」の意味・読み・例文・類語

はっ‐く【八苦】

  1. 〘 名詞 〙 仏語。生・老・病・死の四苦に、愛別離苦(愛する人と生き別れる苦)・怨憎会苦(おんぞうえく)(うらみ憎む人と会う苦)・求不得苦(ぐふとくく)(求めるものが得られない苦)・五陰盛苦(ごおんじょうく)心身のはたらきが盛んである苦)を加えた、八つの苦しみ。〔法華義疏(7C前)〕
    1. [初出の実例]「我等八苦の病は重くとも」(出典:海道記(1223頃)極楽西方に非ず)
    2. [その他の文献]〔梁簡文帝‐菩提樹頌序〕

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世界大百科事典(旧版)内の八苦の言及

【苦】より

…ここから多種多様の生老病死などの〈苦〉(苦)を思惟しつつ,〈苦〉の原因(集)が個体存在への欲望や所有にあることを究明してそれを放棄し,〈苦〉の寂滅(滅)を自己自身の内に体得し,〈苦〉の寂滅に至る修行道(道)を実践するという苦集滅道の四諦説が説かれ,さらに衆生が老いぼれ死にゆくという〈苦〉の根拠をつぎつぎに究明して所有や欲望や個体存在や意識の流れ(識)などを見いだし,それらを滅尽させることを教える十二支縁起説が説かれる。つづいて小乗仏教の阿含・阿毘達磨において四諦説や縁起説の〈苦〉が詳細に分析されて,苦苦性(苦しい感情の苦),壊苦性(楽しい感情が失われゆく苦),行苦性(すべての輪廻的存在の苦)の三苦性,生老病死の四苦,後者に愛別離苦(愛するものと別離する苦),怨憎会苦(憎むものに会遇する苦),求不得苦(求めるものが得られない苦),五盛陰苦(5種の根幹存在よりなる輪廻的存在の苦)を加えた八苦ないし百十苦などの〈苦〉の分類学説が発達する。他方,大乗仏教においては輪廻の〈苦〉の海に沈淪する衆生を救済する大悲の思想などが発達する。…

※「八苦」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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