改訂新版 世界大百科事典 「公私合営」の意味・わかりやすい解説
公私合営 (こうしごうえい)
gōng sī hé yíng
中国で民族資本主義の商工業に対して社会主義的改造を実行するのにとられた国家資本主義の高級形態。これは個別企業の公私合営と全業種にわたる公私合営の2段階に分かれる。個別企業の公私合営は新中国成立直後,私営企業中の官僚資本部分を国有としたりあるいは国家が私営企業に対して投資を行う等によって誕生し,1954年以後急速な発展をとげた。この段階では国家が企業に幹部を派遣し,また一部の企業の生産手段を占有し,企業の利潤は〈四馬分肥〉(国家への所得税,企業の共同積立金,労働者の福祉基金,資本家への配当金の四つに分ける方法)の原則で分配された。全業種の公私合営は56年初期に全国的範囲で社会主義的改造の高まりが出現したとき,短期間で実現された。全業種の公私合営後,国家は資本家の私的持ち分を定額利息に改めたため,資本家の搾取は定額利息に限定され企業の利潤と連係が断たれた。66年9月には国家は定額利息の支払を停止し,公私合営企業は完全に社会主義の全人民所有制企業になった。
執筆者:斉藤 節夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報