国指定史跡ガイド の解説
ぐしかわじょうあと【具志川城跡〈沖縄県糸満市〉】
沖縄県糸満市喜屋武(きゃん)にあるグスク(城)跡。沖縄本島南端の喜屋武岬の西海岸に突き出た断崖に築かれ、1972年(昭和47)に国の史跡に指定された。三方は海に囲まれた断崖絶壁になっているが、東方は内陸に接して平坦になっており城門が築かれている。城跡は2つの郭(くるわ)で仕切られ、城門から1段下がって二の郭、さらに1段下がって突出する先端部に一の郭がある。断崖上の岩山に珊瑚石灰岩の野面(のづら)の石積みをめぐらした城壁の高さは、陸地に続く部分は5~6mもあり、城門部分には切り石を用いた痕跡が残っている。城の規模は、東西82~83m、南北の幅は二の郭で33m、一の郭で16mあり、二の郭には「火吹き穴(ヒーフチミー)」と呼ばれる自然穴があり海に通じている。伝承によれば、久米島の具志川城主真金声(まかねくい)按司(あじ)が伊敷索(いしきなわ)按司の二男真仁古樽(まにくたる)に攻められて落城し、島を脱出して本島に逃れ、故郷と同じ名の具志川城を築いたといわれている。築城時期は三山時代の15世紀ごろと推定。2008年(平成20)に追加指定と一部解除があった。城壁の石垣遺構の保存状態は良好だが、城内には亜熱帯の樹木が生い茂り、内部施設については不明である。那覇から車で約30分。