兼意(読み)けんい

朝日日本歴史人物事典 「兼意」の解説

兼意

没年:没年不詳(没年不詳)
生年:延久4(1072)
平安後期の真言宗の僧。「けんに」ともいう。事相(密教修法)の大家で,密教儀軌(密教修法の詳細)集編纂を先駆けた人物。皇后宮亮藤原定兼の子。仁和寺寛意のもとで伝法灌頂を受け,康和3(1101)年高野山登り,谷深くに幽居し生涯を送る。事相の達人として名高く,弟子を多く養成し秘訣を伝えた。当時,分立した諸流派の統合をはかる動きと連動して儀軌収集が始まりつつあり,事相の大家のみならず絵も得意とした兼意は,その初期の担い手であった。主著に『成蓮抄』。薬物にも詳しく絵入りで薬効を記した『薬種抄』も残す。弟子に『別尊雑記』の心覚がある。

(正木晃)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「兼意」の解説

兼意 けんい

1072-? 平安時代後期の僧。
延久4年生まれ。真言宗。京都仁和(にんな)寺の寛意から灌頂(かんじょう)をうける。康和3年寛意没後に高野山に閑居した。事相(密教の修法)にくわしく,また仏画をよくした。京都出身。俗姓は藤原。字(あざな)は成蓮(じょうれん)房。通称は亮阿闍梨。法名は「けんに」ともよむ。著作に「成蓮抄」など。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

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