国指定史跡ガイド 「円教寺境内」の解説
えんきょうじけいだい【円教寺境内】
兵庫県姫路市書写にある寺院で、天台宗の別格本山。姫路市街の北方に位置する書写山(371m)の山上一帯を占め、境内は東西約1kmに細長く広がる。標高はさほど高くないが、自然環境が良好に保たれ、山岳寺院の様相を呈している。966年(康保3)、性空(しょうくう)上人の創建と伝えられる。西国三十三観音霊場のなかで最大規模の寺で「西の比叡山」とよばれるほど寺格は高く、京都から遠い土地柄でありながら、花山法皇、後白河法皇など皇族や貴族の信仰も篤かった。1333年(元弘3・正慶2)には後醍醐(ごだいご)天皇が、隠岐の島を脱出し、行宮(あんぐう)を構えた伯耆国(ほうきのくに)の船上山(せんじょうさん)から京への帰途、立ち寄ったという。境内は仁王門などがある東谷、本堂にあたる摩尼殿(まにでん)がある中谷、重要文化財である大講堂・食堂(じきどう)・常行堂などがある西谷に分けられる。大講堂の東には、本多忠政・政朝・忠国の姫路城主3人を含む本多家の墓所、本多家廟所があり、それぞれの五輪塔が安置されている。1934年(昭和9)に国の史跡に指定。JR山陽新幹線ほか姫路駅から神姫バスで「書写駅」へ、書写山ロープウェイに乗り「山上駅」下車、徒歩すぐ。