別枝山(読み)べつしやま

日本歴史地名大系 「別枝山」の解説

別枝山
べつしやま

[現在地名]美郷村別枝山

けた山の東、川田かわた川上流の山間に位置する。東および北はひがし山。「阿波志」によれば村内は穴地あなじ名・大神おおがみ名・たいら名・寺尾てらお(照尾)名・宗田むねだ名・古井こい名など三二の名からなっていたという。うち宗田は近世前期の国絵図や郷村帳類に散見する嶺田みねた(嶺田山)にあたる。中世には種野たねの山のうちで、近世には別枝山・嶺田山ともに麻植十山の一つに数えられていた。嘉暦二年(一三二七)三月八日の種野山在家年貢等注進状案(三木家文書)には「上別司」「下別司」とみえ、種野山定在家七四宇のうち上別司に一〇宇半、下別司に一五宇があった。御弓銭・三日厨銭・絹織賃・皮代・量繭代などの公事銭を上別司は三貫一九〇文、下別司一貫七〇五文、ほか田所当銭を上別司五五〇文、下別司一貫八七五文負担し、ほかに山畑耕作への課税とみられるハカリ物(秋麦・粟米・大豆)、三日厨白米、山野からの収穫物に対する課税の「鳥兎分」「葛ノセン」などの貢租も課せられていた。

蜂須賀氏の阿波入部後、麻植十山は川島城番林能勝の給地となったが、当地は元和元年(一六一五)に岩田氏の給地となり、江戸時代中頃に蔵入に転じたと考えられる(美郷村史)。また嶺田山(宗田山)は元和元年頃、稲田氏の給地となった。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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