日本大百科全書(ニッポニカ) 「利休揚げ」の意味・わかりやすい解説
利休揚げ
りきゅうあげ
揚げ物の一種。衣に白ゴマまたは黒ゴマをつけて揚げるもの。利久の字を使うこともある。緑がかった灰色を茶道の祖千利休(せんのりきゅう)にちなんで利休色というが、ゴマの色がそれに似ているところから、ゴマを用いる料理に利休の名をつけたのである。初めは黒ゴマのついた料理に利休の名を冠したが、のちに白ゴマが白髪に通じ、延命長寿の目的も込めてこれも利休の名に加えた。利休揚げの材料には、白身魚や淡泊な野菜などが適する。
ちなみに、利休かまぼこは黒ゴマを用いてつくる。利休豆腐は豆腐を煮てつぶし、紙に包んで蒸したもの。静岡県牧之原(まきのはら)市でつくられるカジメの煮物も利休煮という。これらは色からの命名である。
[多田鉄之助]