朝日日本歴史人物事典 「前田吉徳」の解説
前田吉徳
生年:元禄3.8.8(1690.9.10)
江戸時代の外様大名。加賀(金沢)藩第6代藩主。5代藩主前田綱紀の4男。母は側室預玄院(三田氏)。享保8(1723)年封を継いだ。その治政の重点は藩財政の逼迫により年貢確保に重点をおき,改作仕法の古格の励行など農政の引き締めに努めたが,百姓一揆など農民の抵抗も受けた。また倹約令を出す一方,家臣の借知を行ったが藩債の累積は続き,家臣の困窮や士風の退廃を招いた。また近侍の寵臣大槻朝元を重用し,寛保1(1741)年には国政の大半を親裁とし,大槻が仕切った。大槻は藩費の節減,大坂商人よりの借銀調達,新規課税などの財政再建策や家臣の家格改変を行った。このため譜代門閥重臣層の反発を買い,大槻弾劾の御家騒動(加賀騒動)にまで発展した。
(和泉清司)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報