江戸時代の俳人,浮世草子作者。姓は北条,名は義延,別号は白眼居士,滑稽堂など。〈延宝のとし団水と改名せられし夏の比〉と前書した〈団(まどか)なるはちすや水の器(うつはもの)〉(《秋津島》)の句を西鶴から贈られているから,12~19歳ごろ西鶴門の俳人として改号した事実が知られるが,前号,前歴はまったく明らかでない。天和期(1681-84)ごろまで大坂に住し,貞享(1684-88)の一時期紀州にあり,間もなく京都に移住,西鶴没の翌1694年(元禄7)大坂に移って師の庵に入り西鶴庵を襲名,1701年京都に帰住した。浮世草子の作としては,《好色破邪顕正(こうしよくはじやけんしよう)》《色道大鼓(しきどうおおつづみ)》(以上1687),《昼夜用心記》(1707),《日本新永代蔵》(1713)などが知られるが,団水はむしろ《西鶴置土産》《西鶴織留(おりどめ)》その他数多い西鶴の遺稿の整理編集者として名が高い。《西鶴俗つれづれ》《万(よろづ)の文反古(ふみほうぐ)》《西鶴名残の友》などは,団水による補作とさえ疑われている。俳人としては,西鶴らを難じた《物見車》(1690)への反論書《特牛(こというし)》(1690),撰集《秋津島》(1690),西鶴十三回忌追善俳諧集《こゝろ葉》(1706)などの編述・上梓,また雑俳の点者としても知られる。総じて師に忠実な門人のイメージが浮かび上がるが,俳諧的視野や交遊圏は西鶴より広く,それによる意見の齟齬(そご)も認められる。〈算用をしらでも見事歳取りぬ〉(《四国猿》)。
執筆者:乾 裕幸
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…5巻15章。1693年(元禄6)8月に西鶴が52歳で没したあと,同年の冬に北条団水の編集により遺稿集として刊行された。序に,〈世界の偽(うそ)かたまってひとつの美遊(びゆ)となれり〉とある。…
※「団水」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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