副神経麻痺(読み)ふくしんけいまひ

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

副神経麻痺
ふくしんけいまひ

首を動かす筋肉の一部に分布している運動性の神経の麻痺である。副神経は第11脳神経ともよばれ、迷走神経の付属神経という考えから名づけられたもので、脊髄(せきずい)部分と延髄部分とからなる。脊髄部分は胸鎖乳突筋と僧帽筋に分布し、延髄部分は迷走神経(第10脳神経)と合流し喉頭(こうとう)筋に分布している。しかし、喉頭筋の運動は通常、迷走神経の機能とされている。

 一側の副神経麻痺では、胸鎖乳突筋の筋力低下と萎縮(いしゅく)がみられ、頭部の健全な側への回旋が障害される。また、僧帽筋の障害によって患側の肩は下がり、首をすくめても挙上せず、上肢の外側挙上は水平以上が困難となる。両側の副神経麻痺では、寝た位置で頭を持ち上げることができなくなる。一側の麻痺は頭蓋(とうがい)底を侵す髄膜炎、腫瘍(しゅよう)などによる末梢(まっしょう)性障害で、両側の麻痺は炎症や多発性硬化症などによる核性障害によっておこることが多い。いずれも副神経のみの単独麻痺はほとんどなく、迷走神経や舌下神経とともに障害されることが多い。

 なお、痙(けい)性収縮をきたすものとして痙性斜頸(しゃけい)がある。

[海老原進一郎]

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