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劇場国家 げきじょうこっかtheatre state

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

劇場国家
げきじょうこっか
theatre state

アメリカの人類学者 C.ギアツが『ヌガラ-19世紀バリの劇場国家』 (1980) において展開した概念。国家と儀礼の関係は従来,国家権力の荘厳さを演出するための目的と手段の関係で論じられてきた。しかしギアツが再現したバリ島の伝統社会 (ヌガラ) では国家は儀礼自体を目的とした劇場として位置づけられていた。現実の政治制度は分権的システムから構成され,この拡散的な政治システムを統合するのが劇場空間としての国家である。そして王や貴族は人々の要請に基づいて盛大な国家儀礼を主宰することによって支配者たりえる。すなわち権力は不在であるが,その祭祀性によって集合的な統合力を付与されるのである。このようにヌガラの国家構造は現実の政治制度の分散性と儀礼における象徴の凝集性という互いに矛盾する要素から成り,西欧の権力国家観を相対化する重要な視点を提供しているといえよう。

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