日本大百科全書(ニッポニカ) 「劉復」の意味・わかりやすい解説
劉復
りゅうふく / リウフー
(1891―1934)
中国、文学革命期の作家、言語学者。江蘇(こうそ)省江陰県の人。字(あざな)は半農。五・四運動の中心的雑誌『新青年』の編集に参加。1917年北京(ペキン)大学予科国文教授となり、中国語法研究を進める一方、白話(はくわ)詩運動にも熱心に加わり『揚鞭(ようべん)集』(1916)を出している。1920年ヨーロッパに留学し敦煌(とんこう)学研究を進め、また音声学を学び、『四声実験録』を著した。フランスの国家文学博士の学位を得て1925年に帰国、北京大学国文系教授となる。1934年夏、内モンゴル一帯の方言調査に加わった際、回帰熱にかかり協和医院で死去。進歩的青年として『新青年』に登場してから晩年保守化していくまでを、劉復の没後に魯迅(ろじん)が『憶劉半農君』(『且介亭(そかいてい)雑文』所収)で感慨深く追悼している。
[藤井省三 2018年8月21日]
『『且介亭雑文』(『魯迅選集11』所収・1964・岩波書店)』