日本大百科全書(ニッポニカ) 「加藤常賢」の意味・わかりやすい解説
加藤常賢
かとうじょうけん
(1894―1978)
中国学者。中国古代文化の研究に民俗学・宗教学を導入した。愛知県の生まれ。原始宗教や原始社会に関心を抱き、1920年(大正9)東京帝国大学文学部支那(しな)哲学科卒業後、中国古代の礼・家族制度を研究した。京城(けいじょう)帝国大学助教授となり、30~32年(昭和5~7)中国家族制度調査のため、北京(ペキン)に留学。やがて漢字研究の必要を感じて殷(いん)・周の甲骨文(こうこつぶん)・金文(きんぶん)の研究に着手。33年広島文理大学教授となり、45年被爆した。38年『支那古代家族制度研究』により文学博士となる。47~55年(昭和22~30)東京大学教授。49~58年日本中国学会の初代理事長。著書に『中国原始観念の発達』『漢字の起原』『真古文尚書集釈』『老子原義の研究』などがある。
[池田知久]