朝日日本歴史人物事典 「加藤段蔵」の解説
加藤段蔵
戦国時代の忍者。常陸国(茨城県)秋津郡または甲賀か伊賀の生まれという。一匹狼の忍びの者で,跳躍の達人だったことから「飛び加藤」と呼ばれた。越後国春日山城下で呑牛術や生花術などの幻術を演じて噂を広め,上杉謙信に謁見する機会を得た。謙信から試しに重臣の直江実綱邸にある秘蔵の薙刀を盗むことを命じられると,それを果たして仕官を望んだとされる。しかし逆に忍技の見事さを危険視され,刺客を向けられたことから甲斐国に逃れ,跡部大炊守勝資を頼って武田信玄に引見された。信玄はその忍技を恐れたのか密偵と疑ったのか,召し抱えるとして段蔵を油断させたのち,剣の達人土屋平八郎に命じて暗殺させたという。
(名和弓雄)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報