出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
中国では,主君あるいは雇主から精神的物質的なさまざまな恩恵を受けた人物が,その恩義に報いるため,あるいは施与に対する報酬契約を履行するために,主君ないし雇主に代わって,その仇とする権力者を刺殺しようと試みる場合,この人物を刺客という。〈客〉,とくに〈俠客〉の一種である。〈せきかく〉とも訓ずる。さしむけられる刺客の数は,ねらわれる相手の社会的状況や刺殺の方法によって実際にはさまざまであろうが,司馬遷が《史記》の中で〈刺客列伝〉を作って取り上げているのは,主君と最も深い信頼関係にある1人の人物が,刺客としてほとんど単身で死地に赴く場合である。なぜなら,極秘の計画を絶対にもらさず,厳重な警戒を突破して相手に近づくためには,それに耐えるに足る沈着さと勇猛心を兼備し,最も信頼できる人を選ぶ必要があったからであり,また大事を付託された人物は,その信頼にこたえて〈士は己を知る者のために死す〉という信義を貫こうとする。刺殺目的の成否よりも,そこにあらわれる純度の高い人格的な信義関係を司馬遷は高く評価したからであった。しかし,中国では司馬遷以後,このような視角から刺客をとりあげたものはなくなった。日本では〈しかく〉とも呼び,〈殺し屋〉と同義に用いることが多い。
執筆者:川勝 義雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…中国では,主君あるいは雇主から精神的物質的なさまざまな恩恵を受けた人物が,その恩義に報いるため,あるいは施与に対する報酬契約を履行するために,主君ないし雇主に代わって,その仇とする権力者を刺殺しようと試みる場合,この人物を刺客という。〈客〉,とくに〈俠客〉の一種である。…
…中国では,主君あるいは雇主から精神的物質的なさまざまな恩恵を受けた人物が,その恩義に報いるため,あるいは施与に対する報酬契約を履行するために,主君ないし雇主に代わって,その仇とする権力者を刺殺しようと試みる場合,この人物を刺客という。〈客〉,とくに〈俠客〉の一種である。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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