跳躍(読み)ちょうやく

精選版 日本国語大辞典 「跳躍」の意味・読み・例文・類語

ちょう‐やく テウ‥【跳躍】

〘名〙
① とびあがること。はねあがること。また転じて、勢いよく活動すること。勢いづいて進むこと。
※六如庵詩鈔‐二編(1797)二・所養払菻狗一旦失之踰年復還感紀其事「別久肥瘠似少異、遇我跳躍鳴嗚嗚」
西国立志編(1870‐71)〈中村正直訳〉一〇「字画跳躍(〈注〉オドル)するが如く、その意味茫として知べからざりけり」 〔淮南子‐修務訓〕
体操で、両足をそろえてはねる運動
③ 「ちょうやくきょうぎ(跳躍競技)」の略。〔現代語大辞典(1932)〕

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デジタル大辞泉 「跳躍」の意味・読み・例文・類語

ちょう‐やく〔テウ‐〕【跳躍】

[名](スル)
はねあがること。とびあがること。ジャンプ。「助走をつけて跳躍する」「跳躍力」
跳躍競技」の略。
[類語]飛躍勇躍飛ぶ跳ねる跳ね上がる飛び上がる躍り上がるジャンプする飛び越える飛び越す

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「跳躍」の意味・わかりやすい解説

跳躍
ちょうやく

地面をけって空中に跳び上がることを総じて跳躍という。地球上においては重力加速度に対抗しての動作であり、おもに下肢の筋肉を使って行うが、手の振りや各筋肉を収縮させるタイミングなど神経と筋の協応動作にも調和のとれていることがたいせつである。とくに高い跳躍を行うためには、瞬間的に脚筋力を発揮しなければならないが、この際には筋力に随意的に速い収縮をおこす筋線維の多いことが有利とされる。

 体力測定などでよく行われる垂直跳びは、各自の体重を負荷したうえでの脚筋力と瞬発力の指標としてとらえられる。また、立幅跳びも一般によく行われているが、これは垂直方向ではなく、水平方向への移動を加味したもので、垂直跳びとは測定の意図をやや異にしている。しかし、この二つの種目は、比較的器具や技術を必要としない、筋力を反映したものといえる。昔からの子どもの遊びのなかには、「石けり」「ゴムとび」「縄とび」などのように、跳躍の要素が入ったものがあるが、これらは距離、高さ、リズムなどを加味したものであり、神経系や筋力の発達を考えた場合、それなりの合理性をもっているといえる。また、縄とびのなかの「二重とび」「三重とび」「交差とび」などは、跳躍の滞空時間中に手の動作や姿勢の制御を加えたものといえる。

 スポーツ競技のなかには、跳躍を必要とする種目が数多く含まれている。陸上競技では、走高跳び、走幅跳び三段跳び棒高跳びの4種目がある。これらの競技においては、跳躍の前に行われる助走をいかに有効に垂直方向である高さや水平方向である距離に利用するか、また、跳び上がってバーを越したり、棒を突き放してからの姿勢をどのようにコントロールするかなどが技術的なポイントとなる。

 器械体操の跳馬やゆか運動、トランポリンフィギュアスケートなどの競技においては、高さや距離そのものの跳躍に加えて、空中での姿勢のコントロールに重きが置かれる。とくにこれらの競技では、跳躍の踏み切りを行ってしまえば物理学的に決められた範囲内での重心の動きしかできないため、体のひねりや手足の動作を空中で改めて得ることは不可能となる。したがって、踏み切る前にどのような姿勢をとるかの準備をしていなければならない。

 バレーボールやバスケットボール、サッカーなどの球技の場合は、陸上競技や器械体操などの跳躍に比べて回数も多く、そのときのボールや相手のプレーヤーの動きにあわせた跳躍が要求される。また、もっとも滞空時間の長い跳躍としてはスキーのジャンプ競技があげられる。これは、滑降してきた速さに対して、ごく一瞬のタイミングをとって踏み切るものであり、独特の練習が必要とされる。

 以上のような跳躍においては、いずれの場合も筋力の強さと神経系の優れた協応動作が最重視されることはいうまでもない。

[小野三嗣]

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普及版 字通 「跳躍」の読み・字形・画数・意味

【跳躍】ちよう(てう)やく

とびはねる。〔淮南子、脩務訓〕夫(そ)れ馬の駒(さうく)爲(た)るの時、跳して(ひづめ)を揚げ、尾を翹(あ)げて走る。人、制すること能はず。

字通「跳」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の跳躍の言及

【運動】より

…このような移動運動locomotionこそ動物を動物たらしめた基本的な特徴といってよい。移動運動の様式には遊泳,匍匐(ほふく),歩行,跳躍,走行,飛翔(ひしよう),帆翔,ジェット推進などいろいろあり,そのために使われる器官(運動器官)や機構もさまざまである。筋肉運動の場合は,関節をもつ骨格とそれに付着する伸筋・屈筋の組合せが一般的であり,骨格は無脊椎動物では外骨格,脊椎動物では内骨格になる。…

※「跳躍」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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